「チームで働くリモートワーカー」を応援する【リモートワークラボ】がお届けするインタビュー企画。
この企画では、リモートワークを推奨している企業の社長やリモートワーカーに、リモートワークを取り入れている理由、チームが機能する仕組みをお話いただきます。
AQ株式会社 デザイナー 長瀬氏
AQを共同設立。聞くことから始まる関係を大切にしており、常によい耳をもつことに努めている。AQでは、アートディレクションを通して、人から人へのサービスが届き、的確なメッセージが織り込まれているかに配慮している。
国際的なメンバー。案件は国内外を問わず実施している
まずは会社の紹介をお願いします。
- 長瀬氏
よろしくお願いします。AQ株式会社と申します。弊社は今年で10年目を迎え、東京とパリを拠点にウェブサービスやアプリなどのデジタルプロダクトのデザインを行っています。
インタビューに応じる長瀬氏
ありがとうございます。御社のホームページを拝見すると、すごく国際色豊かだと感じましたが、実際のお仕事も国内に限らずに実施されているのですか?
- 長瀬氏
はい。国際的なメンバーで、案件は国内外を問わず実施しています。東京とパリだけでなく、現在は京都にもメンバーがいるので、打ち合わせはオンラインで行うことが多いです。
そうなのですね。普段はどういったお仕事をされていますか?
- 長瀬氏
デジタルサービスやアプリのコンセプトデザインから立ち上げ、UX評価やリサーチ、UIデザインを実施しています。最近ではユーザ行動の解析ツールや人材管理ツール、またはオンライン学習サービスなどユーティリティーのあるサービスに関わっています。
ASICS様とのランナーのトレーニングアプリや、Google様とのインフォグラフィックスのウェブサイト作成や、メンタルヘルス用スクリーンレスデバイスの研究開発なども行いました。
コンサルティング業務も多いのですか?
- 長瀬氏
そうですね。新規サービスはコンセプト作りから、また既存のサービスでは様々な検証をして方向性を共に決めていくといったような関わり方が多いです。その結果、プロトタイプを作りましょうとか、フロントエンドまでやりましょうという感じで進めることが多いです。
昨年設立されたパリオフィスでも同様の事業をされているのですか?
- 長瀬氏
そうですね。基本的には同じです。ひとつの案件を東京オフィスと共に行うこともありますし、最近では新規パートナーへのコンサルティング業務の機会が多くなっています。
旅行中にリモートワークを実施することも
AQ株式会社様はどういった背景からリモートワークを始めたのでしょうか?
- 長瀬氏
例えば社員が身内の事情で海外の実家に帰らなくてはいけないような場合、その期間を休みとせずに働けるようにできないかといった意見があり、自然に取り入れるようになりました。
なるほど。今、東京オフィスでは旅行といった特別な理由がない場合でも、リモートワークを実施しているのですか?
- 長瀬氏
東京オフィスでは、何も予定がなければ基本的にはオフィスに来て仕事をしてもらっています。ただ、京都にいるメンバーは、フルタイムのリモートワーカーになっています(笑)
先ほどお話にあった京都のメンバーについてですが、その方はご自宅でお仕事をされているのですか?
- 長瀬氏
基本的には京都のシェアオフィスから仕事をしています。
長瀬さんは、「今日は家で仕事をしよう」みたいな日はありますか?
- 長瀬氏
あまりありません。私は家にいると仕事に集中できないタイプなので。
なるほど。社員の皆様も仕事場は個人で判断されることが多いのですか?
- 長瀬氏
基本的にはオフィスから仕事はしますが、社員個人で判断し、リモートワークになることもあります。例えば、このタスクは家から行った方が効率がよいとか、子供の世話が必要だからというような場合です。
なるほど。それは事前に申請とかが必要なのですか?
- 長瀬氏
申請というよりも、チーム全員に知らせるようにしています。
そうなのですね。
今後リモートワークを取り入れようとしている会社が上手く実施するコツなどはありますか?
- 長瀬氏
例えば、Slackやハングアウトなどはリモートワークに限らず、元々活用していたツールですが、リモートワークの状況に合わせて使い方を工夫していると感じます。メンバー全員が毎日顔が合わせられなくなったことで、東京オフィスから勤務するメンバーもコミュニケーションの方法が変わったと思います。そういった状況によって使い分けができる、ある程度のコミュニケーション能力とマナーがあればリモートワークは可能だと思います。
世界中の人たちが、住んでいる場所にとらわれずにリモートで働ける
パリオフィスの方と同じ案件を一緒にやることはありますか?
- 長瀬氏
はい。パリオフィスの社員と同じ案件を行う際は、日本とパリの就業時間が重なる日本時間の夕方ぐらいからミーティングします。
その際も、特殊なツールを使ったりせず、先ほどお話にあったようなツールを活用していますか?
- 長瀬氏
そうですね。基本的に、パリオフィスでも自宅でも、ミーティングの際に使っているツールは同じですね。
現在、東京オフィスから仕事をされていて、今後海外に移住予定だというソフィーさんをご紹介いただきましたが、普段はリモートワークされますか?
インタビューに答えるソフィー氏
- ソフィー氏
私は7年間東京に住んでいましたが、アムステルダムに引っ越しするんです。日本では様々な場所で仕事をしていますが、今後はアムステルダムでもリモートワークする予定です(笑)。
アムステルダムからですか?リモートワークをする時間や場所が毎回変わることに違和感はありますか?
- ソフィー氏
東京に住んでいても、自宅で夜の8時からミーティングを実施することは常にあるので、その辺に対してあまり違和感はありません。
ワールドワイドでおもしろいですね。
- 長瀬氏
彼女は社員ではありませんが、フリーランサーとしてオフィスに常駐してもらっています。そのため、彼女が外国に移住すると決断した後も、会社としてはリモートワークでぜひ仕事を継続してもらいたいと考えています。
- 長瀬氏
リモートワークのメリットはこういった点にあると感じます。世界中の人たちが、お互いに一緒に仕事をしたいという場合は、住んでいる場所にとらわれずにリモートで働けるという点です。
東京と埼玉で離れてリモートする場合と同じように、東京とパリも同じ感覚ですね。
- 長瀬氏
そうですね。
相手の状況を想像することがリモートワークで欠かせない
リモートワークを実施する際の1日のスケジュールみたいなものはありますか?何時に起きて、どういう流れで実施するのでしょうか?
- 長瀬氏
オフィスに出社した際の仕事の仕方と変わりませんね。始業時間になったら、Slackにログインします。Slackでは自分が関わっている案件ごとにチャンネルを設けているので、自分が担当している案件について、1日中チームでコミュニケーションが取れます。また、案件によって必要な場合は、スタンドアップミーティングをオンライン上で行って進捗の確認をすることもあります。
そうなのですね。
- 長瀬氏
あと、これは会社の決まりではないですが、わりと自発的「おはよう」や「これから始めます」などのコメントをして、状況を共有しあってリモートワークを始まることもあります。
また、ちょっと席を外すときにも「ちょっと何々なので1時間席を外します」など報告するようにします。こういった細かいコミュニケーションは、オフィスで顔を合わせていたら何も言わなくても伝わるものかもしれませんが、離れているとそうもいかないので。
ちなみに、このちょっと席を外すというのは、例えば、買い物とかでもいいのですか(笑)?
- 長瀬氏
まあ、場合によりますが。いいですね(笑)。
(笑)
- 長瀬氏
リモートワークは互いに姿が見えないからこそ、自身の状況を言葉で伝えて理解してもらうことが大事だと感じます。買い物であれば、今行かなくてはいけない出張前の大事な買い物なのか、いつでも行けるものなのか、という背景を共有するのが大事だと。そうでないと「なぜ今?」と思われてしまう可能性がありますからね。
なるほど。リモートワークというかコミュニケーションのコツですね。
- 長瀬氏
そうですね。相手の姿が見えないからこそ、「どういう状況なの?」というのが、なかなか分からないことが多いです。自分が思っている以上に、同じ空間にいないとわからないことがいかに多いかということに気付かされます。
以前、マルチリンガルでのリモートコラボレーションについて研究されている大学教授の方からリモートワークに関するお話を聞き、共にAQの環境について調査をしました。そこで、お互いの背景が分からないからこそ生まれる誤解があると知りました。リモートワークではちょっとした誤解によりお互いの関係が崩れるといったことが簡単に起こってしまうんです。
例えば東京で電車の遅延が発生してリモートワークへの参加が遅れたとしても、「電車が遅れたので遅刻します」だけだったら、東京以外に住んでいる人からはそれがどれだけ大変だったか分からないですよね。リモートする同士が東京に住んでいたら、遅延の状況も多少分かるので共感できるでしょう。「今日は、台風で雨がすごかったからね」とか。東京に住んでいれば共通して持っている感覚を知らなければ、それってどうにかして遅れないようにできたんじゃないかと思ってしまうのは自然なことですよね。
お互いが実際に会って仕事していると、どういう交通機関で来るのかとか、「バスに乗って乗り換えとか、大変だね」って分かりますが、もしリモートの相手が自分が全然知らない土地に住んでいたりすると、「なんでそれくらいで遅れたの」って簡単に感情的になってしまう。
なるほど。
- 長瀬氏
相手がリモートワークの参加に遅れても「何か事情があるのかな?」など想像する。こうした、相手の状況を想像する姿勢はリモートワークする上で大事ですね。これは社員にインタビューしたおかげもあって、社員全員がみんな気を付けているところかな。
とてもいいお話が聞けました。
ミーティングが必要な場合は、時差を計算して実施
先ほどお話にあった旅先からも仕事ができる、という点は日本ではあまり実施されていない、とても良い働き方だと思いますが、そういった場合の仕事流れを教えてください。
- 長瀬氏
フルタイムのように旅先から仕事をする、決まった時間だけ仕事をするなどの判断はその時に抱えている仕事の状況によります。ただ、いつどれくらい作業するのかということを明確にしてチーム共有しておく必要があります。「この日は移動時間だから、ここはオフラインになります」とか。チームが質問をしたいときにできない、というのはチームにとってフラストレーションになります。仕事する時間とできない時間やその状況などが明確になっていればそれに合わせて動くことができるので、チームの誰かが旅先で仕事をしてもそれが原因での問題は起こりにくくなります。
- 長瀬氏
事情があって実家に帰らなくてはいけない、というときには、リモートワークできることはいいことだと思います。一方で、バカンス旅行だとしたら、それはなるべく仕事をしないようにしたほうが個人的には幸せだと思います。
その場合、ミーティングは頻繁に実施していますか?
- 長瀬氏
どちらかといえば、逆ですね。なるべくミーティングがない方がスムーズだと思うので。コミュニケーションはチャットなどでできますが、もしもミーティングが必要な場合は、時差を計算して実施しています。
なるほど。ちなみに国をまたいでリモートワークを実施されているようですが、リモートワークを上手に実施するコツみたいなものはあるのでしょうか?
リモートワークを上手に実施するコツとは?
~後編に続く~
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