リモートワークの準備というとルールやツールを思い浮かべることが多いのですが、それらを使いこなせるかどうかは関係者のマインドにかかっています。
ルールやツールに比較して抽象的であるため、短期的な成果が見えにくですが、全ての取り組みの基盤になる大事な観点です。
以下では、リモートワーク導入において、重要な役割を果たすマインドを3つご紹介します。
会社としての戦略と考える
一般に、リモートワークは個人のワークスタイルであり、個人レベルの要望を満たすために導入されているという意識を持つ人が多いです。
しかし、このようなマインドでは何か問題が起きたときに、個人のワークスタイルを非難の対象としがちで、リモートワーカーとオフィスワーカーに対立が起きやすくなります。
リモートワーカーとオフィスワーカーが協力して課題を乗り越えていくには、双方が向き合って対立するのではなく、同じゴールを見て助け合うことが大事です。経営陣やリモートワークの推進担当者は、リモートワークを会社の戦略として位置付け、説明会やヒアリングを活用して、理解を促す活動を続けましょう。
会社として本気で取り組むという意気込みが伝わり、この取り組みで会社がどう強くなるのかの認識が共通していれば、建設的な議論が増え、多くの問題が解決しやすくなります。
当事者であると考える
リモートワークという選択肢を用意してもオフィスに出勤する社員がいきなりゼロになることはありません。
多くの場合では、リモートワークをする社員が少なく、大半の社員は他人事のように考えているかもしれません。しかし、リモートワークを導入すると、オフィスワークをする社員にも仕事の仕方に変革が求められます。極端な表現をすると、オフィスワークをする社員が変わらないと、リモートワークは失敗する可能性が非常に高くなります。
「リモートワークの成否はリモートワーカーのマインドやスキルにかかっている」と考える人が多いのですが、オフィスワークをする社員と連携してチームで作業する場合、むしろオフィスワーカーのマインドやスキルにかかっているという側面があります。
例えば、オフィスワーカーだけで勝手に話を進めてしまったり、リモートワーカーに重要な情報を共有しなかったりすると、高度なスキルを持っているリモートワーカーでも成果を出すことは難しくなります。
逆に、オフィスワークをする社員が「会社の重要戦略であるリモートワークの成否は自分にかかっている」という認識を持っていれば、場所に依存したコミュニケーションを避け、積極的にツールを活用するようになり、場所の制約を超えたチームワークが生まれやすくなるでしょう。
リモートワーカーを標準にする
リモートワークを導入する際には、会社のルールや業務のプロセスをオフィスワーカーに合わせるか、リモートワーカーに合わせるかという議論が頻繁に発生します。
トライアルや導入当初はリモートワーカーが少数派であるため、オフィスワーカーの都合が優先され、リモートワーカーは多少不便でもオフィスワーカーのスタイルに合わせる、我慢するといったことが起こりやすくなります。
例えばオフィスワーカー同士が大事な話を口頭で済ませていると、リモートワーカーはそれに気づかず、適切な対応をとることができません。そのため、特に用件がなくても情報をもらうために自分から状況確認をするなど、非効率な作業を行うことになります。
このように、オフィスワーカーの都合を優先すると、リモートワーカーが不利になり、成果が出しにくくなります。成果が出しにくくなると、チームの重荷になっているのではないか、オフィスに行かないと成果が出せないのではないか、と考えてリモートワークを自ら断念する人が出てきます。これでは当初考えていたリモートワークを導入する目的を達成することが難しくなってしまいます。
理想としては、リモートワーカーとオフィスワーカーが混在するチームでは、原則リモートワーカーに合わせるという方針を最初に打ち出しておくことです。その上で、方針が掛け声だけにならないために、経営層や現場のマネージャ、リーダーが率先して実行すると良いでしょう。
先ほどの例であれば、大事なビジネスの話は口頭で済ませず、チャットなどリモートワーカーが見える形で話すことになります。最初はオフィスで隣の席に座っている同僚とチャットをすることに抵抗感があるかもしれませんが、マインドを変えるために重要な取り組みになりますので、ぜひ挑戦してみてください。
次の記事はこちら
リモートワークラボをフォローしよう。