リモートワークラボ

「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」社員たちが紡ぐ未来 〜 株式会社Everforth(前編)

リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。今回は、次世代型のマーケティングプラットフォームを開発し、現在脚光を浴びている、「株式会社Everforth」の取締役(CCO)である沖津竜平さんにお話しを伺いました。

「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」というコンセプトの元に、居住地・勤務時間・国籍・雇用形態全てにおいて多様性を認めるという、大胆で自由度の高い働き方を実現しているそう。沖津さん自身も、東京と札幌の2拠点でお仕事をされています。

同社のワークスタイルやチームの運営方法、「好きなように働く」ための秘訣はどんなものなのでしょうか?


沖津竜平おきつ りょうへい

株式会社Everforth取締役COO(Chief Community Officer)
1979年東京都生まれ、札幌市育ち。
北海道大学文学部卒業後、音楽業界、フリーターを経験後、人材サービス(求人サイト、エージェント)のスタートアップで事業の立ち上げから取締役まで経験。
その後、マーケティングエージェンシーにて人事・広報・マーケティング、IPO準備等に携わる。
IPOをきっかけに、改めてベンチャーに身を投じて理想を追求すべく、Everforthにジョイン、取締役CCO(Chief Community Officer)として、BizDev全般を担当している。

まずは「Everforth」について簡単に教えていただけますか?

沖津

「Prefer Cloud Platform」というクラウドのプラットフォームを開発しています。カスタマーエンゲージメントに特化したクラウドで、現在はこのプラットフォーム上で「APPAREL CLOUD」という、アパレルブランド向けのサービスを展開しています。モバイルアプリやeコマース、リアル店舗すべてのデータを一元管理して、ユーザー一人ひとりに合ったコンテンツを提供することができるというものです。おかげさまで現在8700店舗以上で使って頂いています。

エンジニアの方しかいない会社とお伺いしました。営業やデザインなど、開発以外の業務はどのように行っているのですか?

沖津

営業は僕とCEOだけで行っています。デザインや、プラットフォーム上でのアプリ開発やweb開発は、フリーランスの方や会社単位でのパートナーの方、副業の方など様々な形で関わってくださっている方がいて、「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」のコンセプト通りに、その方の希望や条件とマッチした時に業務をやってくださっています。コアの業務たるプラットフォーム開発はCTOをはじめとした当社のエンジニアが主に担当していますが、特にそこに線引きがあるわけでもなく、基本は、一人一人のモチベーションが湧く業務をアサインすることを心がけています。

そういう方たちは募集をかけていらっしゃるんですか?それともこちらから声をかけるんですか?

沖津

それほど費用はかけていませんが、最低限の募集で、毎月50人以上は応募が来ていますね。もちろん、こちらから声をかけてスカウトすることもあります。

その採用に関する面接などはどういう形で行っているんですか?

沖津

特に決めていませんが、遠方の方や首都圏でも来るのが面倒という人はオンラインで行なっています。自由が丘にオフィスがあるので、そこが見たい、直接会いたいという方には来てもらっています。

今いらっしゃるのは自由が丘のオフィスだそうですが(※自由が丘のオフィスからテレビ会議でインタビューしました)、お客さんがそのオフィスに来て打ち合わせをしたりすることも…

沖津

あります。ここは誤解されやすいところなんですが、僕らはフルリモートを決して推奨しているわけではないんです。フルリモートが前提の会社でもない。直接会うことの意味や価値も十分理解しています。重要なのは「来なくても良い」ということです。気分が乗らなければ来なくても良いし、遠方にいる人も働ける。そういう自由が重要なのであって、フルリモート自体を「これが良いやり方なんだ!」と言っているつもりは全くありません。

お客さんや働いている人が「こういうやり方をしたい」とか「こういうコミニュケーションの取り方をしたい」というのをなるべく採用して、柔軟に対応するということですね。

沖津

そういうことです。

そういうコミニュケーションの取り方でうまくいかなかった経験はありますか?

沖津

うまくいかなかった、とはあんまり感じていないですけど、確かに遠方にいるメンバーと集まって話そうという時に、日程調整に普通の会社より手間がかかっているとは思います。
例えば「オンラインで集まって話しましょう」という時に、メンバーの1人が「この時間は無理です」と言い出しても「業務時間なんだから参加してください」なんてことはCEOを含めて誰も言いません。そもそも業務時間自体がそれぞれバラバラで、会社として決まっているわけではない。時間が合わない場合は、その人が参加しなくてもやるか、絶対いなくちゃいけない人ならその人に合わせて時間を調整します。そういうやり方だと、もしかしたらコミニュケーションコストは、時間を拘束している会社よりかかっている可能性はありますね。でも今のところそれがクリティカルに経営に問題を起こす事態には至っていません。
それよりも、今のところは、その人が本当に好きなことを好きな時間に好きな場所ですることを尊重する、様々なメリットの方が大きいと感じています。

基本的にはこういうwebのコミニュケーションのみで、電話は全く使わないんですか?

沖津

そうですね。例えば急ぎで対応したい事態が発生した時に、対応できるエンジニアに直接電話して「今やって!」とは言いません。全てオンラインです。それもそんなにクリティカルに問題になったことは意外とないです。

「たった今急ぎの仕事」みたいなものは基本的に生じないようにしている、ということですね。

沖津

普通の会社と同じように生じているとは思いますが、チャットワークで呼びかければ、スムーズに誰かが対応してくれます。
僕はビジネスサイドの人間ですし、結構せっかちなので意外とやきもきすることもありますが(笑)、「今すぐやれ!」という気持ちは全くないです。

「誰かがやらなきゃいけない」仕事が出て来ることもあると思うんですけれど、瞬時にコミニュケーションが取れない場合に、そういう仕事をどう分担するかというのは誰が考えるんですか?

沖津

「好きなことを」なんて言ってても、やりたくない仕事はどうしても出てくるものです。基本的には信頼関係の中でお願いすることにならざるを得ないとは思っています。「向いてないと思います」とか「やりたくないです」と言われる時もあります。どうしてもやりたくない時には無理強いはしていないです。できる人を探します。

それはちゃんと言い合える関係だということですね。

沖津

そうですね。そこが重要だと思っています。

開発以外の業務をどうするかというお話しの中で、「副業」というワードが出てきましたけれども、こちらの会社に副業として関わっている方がいらっしゃるということですか?

沖津

たくさんいますよ。みんなが知っているような大企業や有名企業で働いている方も関わってくれています。

そういう方たちは、あちらから「副業として手伝いたいよ」とやってくるんですか?

沖津

そうです。副業したいと応募してくださる方もたくさんいらっしゃいますし、ハイスキルな方を見つけてこちらから声をかけるということももちろんしています。

 

ひとりひとりみんな違うから、柔軟に考える

いろんな雇用形態の方がいらっしゃるということでですが、人事評価やお給料を決めたりとかは個別にお話しするんですか?

沖津

評価はシステムではやりません。給与については、役割やスキルなど計算するベースのロジックはあり、それをもとにCEOが本人と合意して決めています。

完全自由な中でどのように業務を進めているのかを教えていただけますか?

沖津

我々は「VGTA」と呼んでいます。完全自由だと困ってしまうこともあるでしょうから、「ビジョン」「ゴール」「テーマ」「アーティファクト」をそれぞれ決めています。それは会社単位、チーム単位、個人単位とあって、全部構造は同じです。「ビジョン」は普遍的な、将来目指すもの。「ゴール」は3年、5年ぐらい。「テーマ」は1年ぐらい。「アーティファクト」は3ヶ月単位。実際の成果物やアクションを3ヶ月単位で決めています。それに基づいて次の3ヶ月どうしようかとか、3ヶ月が4回経ったら1年をテーマ単位で見直してというのをぐるぐる繰り返していて、その話をしながら個人のビジョンも含めた、将来的なことや方針なんかを、CEOがそれぞれのメンバーと話して決めています。

それを一人一人。

沖津

そうですね。雇用契約でいう「社員」とそうしています。副業やフリーランスの方はタスク単位だったり、月で契約してる人もいれば時給で契約してる人もいます。その人それぞれの支払いサイクルも含めて合意しているという形ですね。

途中で支払いのスタイルが変わる人もいっらしゃるんですか?

沖津

います。より難しい仕事やたくさんの仕事をやらなきゃならない時は、報酬をよりこまめに見直します。副業やフリーランスの人は当然そうですし、社員に関してもそうです。

今、雇用形態に関係なく、関わっている人は全体で何人ぐらいいらっしゃるんですか?

沖津

流動性が高いので、人数は常に変動しますが、何かしらの業務している人は今時点で言えば、40人前後ですね。

外国人の採用には特に抵抗はないですか?

沖津

全くないです。

日本語が話せる話せないは関係ないと。

沖津

そうです。日本語が話せないメンバーもいて、英語でコミニュケーションを取ることもあります。幸いなことに英語を使えるメンバーは結構いるので、困ったことはありません。
ただ、今うちにいるラトビア人は偶然にも日本語を話せますけど、ラトビア語しか話せないとなったら困ったでしょうね(笑)。

日本語か、英語か(笑)

沖津

であれば大丈夫ですね。

今まで外国籍の方や海外在住の方と働いてみて、メリット・デメリットって特にありましたか?

沖津

全然ないですね。あと、「おじさん」もたくさんいますよ。外国人よりおじさんの方が日本は就職ハードル高いじゃないですか(笑)。若者が「就職ない、就職ない」って言ってる中、実は一番厳しい環境なのは、おじさんですからね(笑)。

一同

(笑)

沖津

冗談抜きで、我々は年齢に対する抵抗も全くないですよ。

 

(後編へ続く)

 

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