リモートワークラボ

『制度にしない』という信念が生み出す働きがい 〜 株式会社アトラエ(後編)

「会社が好き。みんなと一緒に仕事したい」

リモートで働く前例ができたからというわけでもなく、そもそも会社の姿勢自体が柔軟だったとは思うんですけど、よりリモートを積極的に使ってもいいんだという風潮が少なからず増してきたところで、「移住したい」とか、そういう方が出たりとかはしないんですか?

紺谷

花粉の時期は、沖縄に移住したいと強く思います。

一同

(笑)

紺谷

みんながどう考えてるかは分からないんですけど、やっぱり会社の近くは効率がいいと思うんです。

アトラエの人って、なんだかんだ人が好きですよね。みんなとしゃべりたいし、毎日会いたいと思っている人が多そう。

一同

(笑)

堂前

会いたいですね。会社が好き。みんなと一緒に仕事したい。

チームプレーヤーばかりなので、みんなで頑張って、みんなで達成してる感じが好きなんでしょうね。1人で働きたいとか、自宅で働きたいからリモートをやってるというよりは、「みんなで働きたいんだけど、諸事情があって仕方なく家にいます」みたいな人の集まりだと思う。だからリモートの時って、チャット上のコミュニケーションは増える傾向にあるかも(笑)

一同

(笑)

堂前

ビジネスが好きな人は多いと思うんです、うちの会社。本気でビジネスをやろうと思うと、今はまだ、人や情報が東京には集まっていますから東京にいる方が効率いいんですよね。

そうですね。

堂前

そうなると、地方に移住したいと思うのも全然いいと思うんですけど、入ってくる情報が限られるというのはあるんだろうなと思ってて。僕がこっちに帰ってきた理由の中にもそれがありましたね。

紺谷

だから、あるとしたら海外ですかね。「ビジネスをやりたいから海外に行きたいです」という人がこれから出てくる可能性はあると思います。

ルールを作らない方がうまくいく

堂前

ルールって、会社としてパフォーマンスを出すためのやり方の1つだと思うんです。うちの会社がルールで縛らなくても成立しやすいのは、採用の段階である程度絞っているからだと思っています。世界中を魅了する会社をつくりたい、という人を集めているので、それを実現するために好きな方法を選んでいいですよ、というスタンスで今までやってきました。当然守らなきゃいけない法律があるのは大前提ですが、それ以外に関しては共通の目標に向かって好きなように頑張るというのでいいんじゃないでしょうか。ルールをあえて作らないほうがうまくいくと個人的には思います。

そうですね。ルールがあると、どうしてもルールを守ることが目的になる人が出てきますよね。

堂前

そうですね。例えば「リモートワークは月2回まで」として、「じゃあ、3回は?」「うーん、じゃあ、3回だったら認めるか」「じゃあ、4回は?」みたいによく分かんなくなってくるんで。

「3と4の差は何?」ってなりますよね。

紺谷

「自分で考えて決めて」が基本なので、チームメンバーに迷惑をかけなければ、何をやってもいいよという感じではありますけど。

ルールがあるともう思考停止しちゃうというか、そこにはまってればいいんだってなりがちですしね。

堂前

そういう意味でも圧倒的にボトムアップが多いですね。トップダウンで下りてくることなんてほぼないです。トップダウンで下りてきたとしてもメンバーが「違う」と思ったらはじかれますしね。

社長と平社員みたいな考え方はあんまりなくて、言いたいことは言う。

堂前

そうですね。

自分やみんなのために必要なことはどんどん提案してというと、逆に提案力が必要になってきますね。

堂前

そうですね。その方が評価はされます。

仕事、ひいては人生を楽しく!

評価基準や評価の方法はどのように行なっているんですか?

堂前

去年の10月にちょうど評価について明文化しました。評価軸は大きく2つです。1つが業務遂行。事業をどのぐらいのレベル感で見ているか、です。そのレベルが高ければ高いほど評価が上がります。もう1つがチームビルディングという軸で、関わってるチームのメンバーのパフォーマンスを高めて、いろんな成果や結果を出せたら、より評価しますよというもの。このチームビルディングという軸を評価に入れてる会社はあまりないようですね。ここはすごくうちらしいなと思っています。すごく端的に言うと、大きな事業に関わっている人たちがどれだけエンゲージメント高く働けている状況がつくり出せているか、そこが評価のキモですね。

「仕事楽しい」が主体ですね。

堂前

「仕事楽しい」じゃなくて「人生楽しい」ですかね、どっちかというと。

もうワンランク広い。枠にはまってしまっていました(笑)。

一同

(笑)

人生の一環ですもんね、仕事は。家庭と仕事と遊びと、全部フラットに考えていらっしゃるんですね。

堂前

そうですね。ただ、その中でも仕事の比率はどうしても多くなるとは思っていて、実際に8時間で大体皆さん働くじゃないですか。プラス会社にいく準備をしたり通勤の時間なんかも含めると、仕事の占める割合は一番大きい。だからそれが面白くないと、人生が楽しくないのとほぼ同義になっちゃう可能性があるから、もったいないですよね。

課題はあっても積極的に克服できる環境

リモートワークをしていて、ちょっとつまずいたことや困ったことってありましたか?

お土産が配れない問題(笑)。

紺谷

お土産が食べられないのはつらいです。配られた次の日に行っても、もうないですからね。

一同

(笑)

カフェスペース。様々な形のスペースがあり、自分のデスク以外の好きな場所で作業する方もいるそう

堂前

僕も北海道へ行っていたときはそうでしたね。いつも悔しい思いをしていました(笑)。でも、会社にピザを頼んで、打ち上げをした時、北海道にいる僕にも会社名義でピザを届けてくれたことがありました。ビデオチャットでつないで「お疲れ様ー」って言いながら食べるという。あれは嬉しかったですね。

紺谷

やったねそんなこと。

堂前

真面目な話をすると、表情が見れないというのはちょっとやりづらいところがあります。会議室にカメラを置いてミーティングをするんですが、そうすると全員が写るわけじゃないので、今見えていない人がどういう表情なのかがわからないので。会議って、割と相手の表情や全体の空気感って見てますよね。

そうですね。場の空気は、画面1枚通すだけで伝わり辛くなりますよね。

紺谷

それもツールの導入でカバーできるのかなとは思うんですけど、まだそこまでの危機感ではないんです。もっと多くリモートワーカーがいれば、ツールの統一や導入も本気で考えるんでしょうけど、絶対数が多くないし、日によってもまちまちですし。

これ!という決まったツールはまだないんですね。

堂前

そうですね。あとは「教える」のがやりにくいです。下のエンジニアに教えるというのが…。チャットの文章だけだときつい印象になったり、そんなつもりはないんですけど、こちらが言ったことに相手がすごくへこんでたりすることがあって。

先ほどもあった「表情が読めない」というものですね。

紺谷

そうなんですよね。

堂前

北海道で仕事をしていた頃、半期に1回は東京のオフィスに来ていたんですけど、結構後輩のエンジニアに、「画面上でやり取りしている時と感じが違う」と言われましたね。

会議の時間もちょっと見直した方がいいかも知れないですね。全社の会議は18時頃のスタートが多いんですけど、パパママからするとその時間帯は子どものお風呂だったり晩御飯の時間だったりするんですよね。

確かにそうですね。

子供がいると、ビデオチャット等でつないではいるものの、きちんと聞けてない時もあるんです。なので、子供を寝かせたあとや、お休みの日に見れるように全社会議は毎回録画するのがいいんじゃないかと思って、今はその企画を進めています。

それが実現すれば、もっと柔軟にいけますね。

紺谷

全社会議とかは先ほど南が言った時間的理由で、画面は切ってイヤホンだけで聴いてたりします。それでキッチンでご飯作ったり。

堂前

質問しにくいけどね。

紺谷

そうだね。

堂前

全社会議で質問するときは、若干タイムラグがあったりしてやりづらかった記憶がありますね。だから、「ちょっと後で誰かに聞こう」とかになってしまいがちです。

そのあたりが、これからの課題ですか?

まだそれほど大きな問題ではないですけどね。いよいよ我慢できなくなったら、我慢できなくなった人から改革するのがアトラエなので、今はまだ大丈夫なのかも知れないですね。

不便を感じたら訴えて変えればいい、それが空気的にできない、提案しても却下されてしまう会社も多い中、誰でも思い立ったら変えられるというのはすごく魅力的なところですね。

取材後記

既存の枠の中で「働きづらいからリモートワークを追加しよう」という発想になることが多いように思いますが、アトラエさんの場合は実は真逆で、働きやすさに対する信念があって、そのために必要なことはなんでも取り入れる、そのひとつの方法がリモートワークだったんですね。仕事と人生を楽しくすることを常に考えている、非常にユニークで魅力の多い会社だなと感じました。

ますますのご活躍をお祈りいたします!

(リモートワークラボ編集部)

 
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