普及度、認知度ともに上昇傾向? 国土交通省発表「平成29年度テレワーク人口実態調査」

(最終更新 2018/08/08)

国土交通省が毎年実施している「テレワーク人口実態調査」。その平成29年度版が発表されました。

本年度の調査では、昨年度に比べ、普及度(7.7%→9.0%)、認知度(53.3%→62.6%)とも上昇しましたが、限定的な範囲にとどまっています。また、普及には、性別差、企業規模間の差、業種の偏りなどの課題もあるようです。

テレワークの普及度合いと実態調査

女性
【調査対象者】
就業者を対象に、H29年10月にWEB調査を実施(有効サンプル40,000人)

女性テレワーカーの割合の低さが明らかに

雇用型では、20代男性(21.9%)と30代男性(21.6%)のテレワーカー割合が高い。また、どの年齢においても女性テレワーカーの合は男性と比べ低い。 自営型では、20代男性(40.5%)と30代女性(40.0%)と高い割合になっている。

雇用型テレワーカーが増加中

「テレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合」は9.0%(前年度の7.7%より1.3ポイントup)。非テレワーカーのテレワーク実施意向の39.8%との開きがみられる。

業種別では、「情報通信業」のテレワーカー率が最も高い結果に

雇用型では、「情報通信業」のテレワーカーの割合が最も高く30%を超え、次いで「学術研究、専門・技術サービ ス業」が27.0%、他業種は約10~20%となっており、「宿泊業・飲食業」の7.2%が最も低い。 自営型でも「情報通信業」が最も高く40.0%、次いで「学術研究、専門・技術サービス業」が38.6%。他業種は約 10~20%台となっており、「農林水産・鉱業」の9.0%が最も低い。

勤務先にテレワーク制度がある人はその過半数が活用

雇用型のうち勤務先にテレワーク制度等が「ある」と回答したのは16.3%(前年度14.2%より2.1ポイントup)。「ある」と回答した中でのテレワーカーの割合は55.3%、「制度等なし」と回答した中でのテレワーカーの割合は6.9%となっており、勤務先に制度がある中の過半数がテレワークを行なっているという結果になっている。

企業規模が大きいほどテレワーク制度の導入割合は高い傾向に

従業員数1,000人以上では25.1%、従業員数100人未満では11.0%と企業規模が大きいほどテレワーク制度等の導入割合が高まる傾向で、「わからない」と回答した人の割合は、どの企業規模も3割以上を占めている。

テレワークの認知度も上昇傾向

「テレワーク」という働き方の認知度は62.6%。(前年度:53.3%より9.3ポイントup)

勤務先のテレワーク制度の内容、運用方法、課題

自宅

【調査対象者】
回答者のうち勤務先にテレワーク制度がある雇用型を対象に、H29年11月にWEB調査を実施(有効サンプル4,612人)

テレワークをする場所として認められているのは「自宅」が圧倒的

テレワークの場所として認められているのは、自宅が62.3%、自社の他事業所(他支店・営業所、サテライトオフィス等)が55.8%を占め、その他の場所は10~20%台となっている。

会社としてテレワークを認めやすいのは、「専門・技術職」

テレワークが認められている条件として、「全部門・全職種」認めている割合は29.7%。「一部のみ認めている」ケースは、「専門・技術職」が33.6%と最も多く、次いで「営業」「管理職」「事務職」がそれぞれ30%前後となっている。

自宅でのテレワーク条件「育児」が最多

自宅でのテレワーク実施について、67.5%が「特に条件等(育児・介護等)の制限はない」と回答。「制限がある」ケースは、「育児」が68.8%と最も多く、次いで「介護」が56.7%となっている。「災害発生時」「交通機関の混乱時」は、いずれも30%未満と少ない。実施頻度については、57.7%が「特に制限はない」と回答し、次いで「週1~5日」が合わせて約13%を占める。「月3日以下」は、合わせて5%弱にとどまる。

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自宅でのテレワークする際の手続きは休暇申請よりも厳しい!?

自宅でのテレワークする際の手続きとして、「テレワークをする都度、上司などに書面等による申請・承認が必要」が47.4%と最も多く、「特になし」 は30.3%。上司などに書面等による申請・承認が必要な場合の申請・承認時期については、「1週間前まで」が38.2%と最も多く、「当日で可」は16.0%と、休暇の申請などよりも厳しい印象を受ける。

テレワークに関する制度等について改善すべき点

「テレワーク制度等の対象者の拡大」が30.2%、「テレワーク実施可能頻度の拡大」が22.1%、その他「テレワークする際の手続きの簡略化(19.7%)などがあげられた。

まとめ

この資料だけを見ると、順調にテレワークが広がっている印象を受けますが、自営型フリーランスの人や、出勤型のサテライトオフィス、出先でモバイルを使った場合なども混ざっているので、純然たるテレワークが果たしてどのくらいの数字になるのかについては少し疑問が残ります。

このサテライトオフィスとモバイルの使用を数字に混ぜ込むと、一般的に男性の方がモバイルを使用しつつ外回りの仕事をするスタイルを取る比率が高いという推察から、(逆に女性比率の高いバックオフィスではモバイルの使用頻度は低い)、今回算出されたテレワーカーの男女比(雇用型だと男性19.9%、女性8.7%)にも影響があるのではないかと考えられます。

多少数字の算出方法を読み解くのに注意が必要ではありますが、テレワークに対する認知度は確実に上がっていると言えるのではないでしょうか?

↓↓↓参考資料↓↓↓
テレワークは普及、認知ともに上昇、勤務先の制度に課題 ~平成29年度テレワーク人口実態調査結果の概要~

報道発表資料

「H29テレワーク人口実態調査結果の概要」

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この記事を書いた人

土佐光見

リモートワーク研究所研究員・ライター。 webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。