(最終更新 2018/08/01)
リモートワーク制度を導入する企業は年々増えてきているようですが、実際に日常的にリモートワークをしている人というのはあまり多くありません。これは一体どういうことでしょうか?
リモートワークの導入に失敗してしまう企業というのは実はたくさんあります。本来リモートワークは生産性にプラス効果がもたらされるものですが、残念ながらうまく行っていない企業がとても多いのです。
ひとつの要因として考えられるのが、リモートワークを導入することで「働き方を大きく変えざるを得ない」と考えてしまうこと。今までの会社のあり方から大きく変えようとしすぎて失敗してしまうのではないでしょうか?
オフィスワークの特徴を分析することで、リモートワークのために何を変え、何を変えないべきなのかを考えてみました。
オフィスワークの特徴
1.チームで協力して作業することで生産性が飛躍的に上がる
高いスキルや柔軟な発想が必要な仕事が増える現代では、個人のスキルだけではカバーしきれない業務が多くあります。これを高い生産性を持って完遂するためには、チームワークがとても重要になってきます。
2.お互いの状況を伝えたり、気軽に相談や議論のできる空間がある
「心理的安全」を感じられることがチームの生産性に大きな影響を与えます。「心理的安全」とは、安心してお互いのミスを共有したり、相談や提案ができる状態を指します。お互いの顔が見えて、気軽に話しかけられるという環境は、この心理的安全のベースになり得ると考えられます。
このことについては、Googleでも研究が行われており、Googleが公開している自社の人事手法を解説するサイト「re:Work」において詳しく解説されています(参考:https://gigazine.net/news/20151126-five-keys-to-successful-team/)。
3.コミュニケーションにも特徴が
オフィスでのコミュニケーションにはこんな特徴があります
・会議室や電話、メールと違う直のやりとりがあり、いるかいないかが一目でわかる。
・朝夕、外出時や帰社時の挨拶など、自分の状況を共有したり、会話のきっかけをつくる習慣がある。
・言いたいこと、訊きたいことが完全に整理できてなくても、目の前に相手の顔が見えるので、「とりあえず」気軽に話を始めやすい。
・特にネガティブな話題の場合に、テキストよりも柔らかいコミュニケーションが取りやすい。
これらの既存のコミュニケーションの形が、リモートワークの導入によって、変わり過ぎてしまうケースには、顔が見えない、いるかいないのかがわからない、気軽に声がけができない、雑談が生まれない、コミュニケーションがテキストばかりになってしまうなどが挙げられます。
働く場所が離れることが、仕事の進め方やメンバー同士の距離感にも強い影響を及ぼしてしまうのです。これを防ぐためには、リモートワークの導入時に「変えること」と「変えないこと」を明確にしておく必要があります。
リモートワーク導入のために「変えないこと」3つ
コミュニケーションの習慣自体は変えないようにすることが重要です。
1.お互い顔が見える、いつでも声が掛けられる状態を保つ
2.挨拶や仕事以外の雑談も気軽にする習慣
3.オフィスでのコミュニケーションや習慣をできるだけそのままにすることを原則とする。
リモートワークを導入した時に特に起こりがちな、「声をかけても気づいてもらえない」という体験は、コミュニケーションをじわじわと劣化させていくことになります。リアルな声がけをチャットやオンライン会議に置き換えて、「話しかける」という文化は無くさないように、チーム全体で意識するようにしましょう。
リモートワーカーと頻繁にコミュケーションを取る人は、慣れるまでオンライン会議を繋ぎっぱなしにするのもおすすめです。ノイズが気になる場合は、自分が発言したい時以外はマイクをミュートしておくと良いでしょう。
リモートワーク導入のために「変えること」4つ
コミュニケーション以外に関係する、物理的なモノをデジタルに変更し、オンライン会議のために必要な備品を準備する必要があります。
1.紙の資料等→ペーパーレス化
2.ホワイトボード→スプレッドシート、Trello、Postalkなどオンラインツールに
3.カメラ付きPC、マイク付きイヤホンの常備(必要に応じてすぐに自席からオンライン会議に繋げられるのがベスト)
4.自席からオンライン会議を繋げづらい時のために、いつでも使えるフリースペースを作っておく。
リモートワークを導入して、最初のうちは毎日15分くらい振り返りの時間を作って、やりにくいところやうまくいったところを共有して少しずつ改善していくと円滑に進みます。慣れてきたらチャットツールを併用して、簡単な質疑や相談時の最初の声かけをチャットでやるようにしてみてください。オンライン会議でのコミュニケーションと、テキストのみのコミュニケーションの使い分け方を体得すれば、リモートワークの本領を発揮することができます。
そうしてリモートワークの人数が増えてきたら、バーチャルオフィスツール導入の検討を。上手に段階を踏むことができれば、最終的には生産性の向上に大きくつなげることができます。
まとめ
今までオフィス内だけで完結していたコミュニケーションにリモートワークを導入するということは、大きな変化だと思うかもしれません。しかし実はいかに「変えないか」がリモートワークの導入を成功させるための勘所となるのです。各々がどこにいても、チームとしてのコミュニケーションは「変えない」、これをぜひ実践してみてください。
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この記事を書いた人
土佐光見
リモートワーク研究所研究員・ライター。
webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。