テレワークは私生活の充実などメリットがある一方、デメリットもあります。しかし、テレワーク導入前に考えていた不安と実際に体験してわかったデメリットにはずいぶんギャップがあるようです。実体験からわかったテレワークのデメリットと解決策、テレワーク導入に役立つツールを紹介します。
予想外!?意外と少ないテレワークのデメリット
テレワークを導入したくても「社員同士のコミュニケーションが希薄になるのでは?」と、心配に思う企業も多いことでしょう。
2016年にザイマックス総研が、首都圏在住のテレワーク経験した会社員約3000人に「テレワークへの不安と実際に感じたデメリット」というアンケートを実施しました。その結果、導入前と導入後に感じたデメリットにずいぶんギャップがあることが判明しました。
テレワーク導入前と導入後でどんなギャップがあったのか、経験者の生の声を確認してみましょう。
導入前に想像したテレワークのデメリット
テレワーク導入前は、次の3つを不安に感じる人の割合が多い傾向にありました。
- 1位「仕事上のコミュニケーションが減る」53.2%
- 2位「仕事のON/OFFの切り替えがしづらい」52.2%
- 3位「ホウレンソウがしづらい」43.9%
アンケートからテレワーク導入前は、「社員同士のコミュニケーション」を心配している人がたくさんいたことがわかります。
実体験でわかったテレワークの真のデメリット
テレワーク経験者の意見をみると、次の3つをデメリットに思う人が多いことが判明しました。
- 1位「仕事のON/OFFの切り替えがしづらい」37.9%
- 2位「長時間労働になる」25.4%
- 3位「情報セキュリティに不安がある」24.3%
社員同士のコミュニケーションをデメリットに感じる人ももちろんいます。しかし、実際には勤務時間や労務管理に不満な人が多いことが浮き彫りになりました。
「上司に業務の難易度を理解してもらえず、正当な人事評価をされなかった」という不満の声も見逃せません。
テレワーク導入前のアンケート結果と比べて、導入後にデメリットに感じる項目のポイント数はすべて50%以下。色々と心配に思う面や課題があっても、思いのほかテレワークはデメリットの少ない働き方と考えてよいでしょう。
長時間労働や成果が不透明になりがちな理由
国が企業にテレワークをすすめる理由の1つに「残業時間の削減」があります。
しかし、実際には「仕事とプライベートの区別がつきにくい」「長時間労働になりやすい」といった問題を抱えています。正当な人事評価が難しい点も今後テレワークを行ううえで、改善しなければならない課題です。
テレワークが長時間労働に陥りやすい原因、成果が不透明になりやすい理由を調べみました。
在宅勤務の就労実態を正確に把握できない
テレワークを導入する企業の多くが、社員の労務管理に裁量労働制を採用しています。
2018年3月に国土交通省が行った「テレワーク人口実態調査」によると、「テレワーク時の始業・終業時刻の上司への連絡」が「必要でない」と答えた人が47.4%。「自宅でテレワークする際の仕事内容・成果の報告」に関しても、40%が「報告の必要がない」、35.5%が「仕事内容の報告は必要だが、成果の確認は不要」と答えています。
調査の結果から、テレワークの就労実態を把握できていない企業が多いことが伺えます。採用労働制で成果重視の人事評価となったことで、結果を出すために長時間労働に陥る人も少なくありません。
逆に、上司の目がないのをいいことに、サボって適当な業務報告をする人もゼロとは言い切れません。仕事内容と成果の報告がないことで、どう部下を評価すればよいか判断に困る管理職もいます。
業務の見える化を共有できない
業務の見える化が共有できないこともテレワークの長時間労働や人事評価が不透明になりやすい理由の1つ。
たとえば、Aさんに部下Bさんと部下Cさんがいたとします。2人の部下は同じ仕事をしているにもかかわらず、Bさんは5時間で終わるのに対して、Cさんは10時間もかかります。業務が見えないと、パフォーマンスの低いCさんが何に困っているかわからないので、Aさんは上司としてCさんの仕事のフォローができません。
Cさんも上司や同僚に相談したいことがあっても、他の人の仕事ぶりがみえないので「今、忙しいかもしれない…」と連絡をためらうこともあるでしょう。誰にも相談できなくて、業務を1人で抱え込み勤務時間が長時間化する恐れも十分に考えられます。
オフィス勤務と同じ人事評価をしている
日本でテレワークを導入している企業の多くが、週に1~2回程度の在宅勤務しか認めていません。オフィスで働く時間の方が圧倒的に長いため、従来の人事評価制度をそのまま適用するケースがほとんどです。
日本の人事評価は「会社にいるから働きぶりがわかる」「会社にいないから働きぶりがわからない」と、単純に目に見える働き方だけで成果を判断する傾向にあります。テレワーク経験者は「オフィスにいないので上司に仕事ぶりを確認してもらえない」「正当な評価がうけられないのでは…」と、不安に思って働き過ぎる人も少なくありません。
しかし、全職種で完全成果主義で人事評価をするのも考えものです。売上など数値化できる目標がある営業職ならともかく、業務目標を数値化しづらい企画職、事務職にとって完全成果主義は適切な人事評価とはいえません。
リモートワークは「時間対成果」で評価する
在宅だと勤務中でも家族から用事を頼まれやすい
テレワークはビジネスマンの間で少しずつ浸透していますが、世間全体ではまだ認知度の低い働き方です。「家で仕事をする=ラクできる」と誤解する人も少なくありません。「勤務時間中でも家族に用事を頼まれて作業が中断されて困る」というテレワーク経験者の声をたびたび耳にします。
特に子育て中の家庭では、子供の病気や学校の行事で昼間の作業が中断されて、勤務時間が細切れになりがちです。一部の心ない社員から「子育てを理由にサボっている」と勘違いされることもゼロではありません。「成果を出さなくては」とプレッシャーを感じて、長時間労働に陥る女性社員がいることも問題視されています。
テレワークのデメリット解決策や役立つツール
最後にテレワーク導入企業が実施している長時間労働や労務管理の不透明さを解決する方法、課題解決に役立つツールを紹介します。
デスクトップを定期的にキャプチャする勤怠システムの導入
社員1人ひとりの就労実態を正確に把握するのであれば、パソコンのデスクトップを定期的にキャプチャする勤怠システムを導入してみるとよいでしょう。
おすすめの勤怠システムに「F-Chair+」があります。
「F-Chair+」の特徴
- 着席ボタンを押すだけで画面キャプチャが定期的に自動撮影されるので、面倒な業務報告が不要
- 簡単なインストール作業と専用デスクトップツール入れるだけなので導入が簡単
- 管理画面から勤務時間、在籍状況、画面キャプチャが見えるので、社員1人ひとりの就労状況を正確に把握
- ユーザ数1~10名で1ヶ月の月額費用はたったの1万円で低価格
- スモールスタートが可能なので部門別に少しずつテレワークを導入したい企業にも対応可能
まずは、無料トライアルを試してみてください。
F-Chair+についてはこちら
チームメンバー全員で業務の見える化を共有
プレイングマネージャーとして自分の仕事を抱えながら部下を指導する管理職も少なくありません。離れた場所にいる部下1人ひとりの業務を把握するのはかなり負担です。
テレワークだと、相手が何をしているか見えないので、職務関係なく社員同士でコミュニケーションを取りにくいといったデメリットもあります。
テレワークの業務の見える化、社員同士のコミュニケーションでお悩みの企業は、次の2つを試してみませんか。2つとも低価格で利用できるので、ITコストが少ない企業におすすめです。直感的な操作で利用できるので、ITリテラシーの低い社員でもすぐに使い方を覚えることでしょう。
バーチャルオフィスRemotty
ログインするとパソコンのカメラから数分感覚で自分の顔写真がメンバーに共有されます。離れていても自分を含め相手の顔が見えるので、オフィスにいるのと同じ感覚で気軽に話かけることができます。
仕事で困ったことの相談、部下の進捗状況もオフィスにいるのと同じ感覚で行えます。また、ちょっとした雑談も気軽に行えるので、1人で仕事をして孤独を感じることもありません。ライブカメラ、オープンチャット、ダイレクトメッセージなど基本機能はすべて無料で使えます。
Remottyについてはこちら
TalkTree
チームメンバーの仕事の進捗管理や共有に便利なツール。一般的なチャットツールと違い、メッセージの履歴はツリー構造で表示されるので、メッセージの見落としを最小限に抑えてくれます。
メッセージを開くと「誰が未読か」「投稿についてのメンバーの状況」がひと目でわかるので、メンバー1人ひとりの進捗状況を把握できます。
TalkTreeについてはこちら
テレワーク向けの人事評価制度を策定
テレワーク向けの人事評価制度を策定するには、オフィスワークとテレワークで業務プロセスの見え方の違いを理解することからはじめましょう。
評価制度は業務プロセス重視か、成果重視にすべきか同じ職種でも社風によるので一概にどちらが正解とはいえません。同じ会社でも職種により人事評価制度が変える必要もあります。
2018年2月に国が公開した「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を参考にして、自分の会社にふさわしい人事評価制度の見直しを行いましょう。
人事評価制度の見直しを行う際は、こちらの記事も参考にしてみてください。
リモートワークと労務管理
リモートワークとルール
サテライトオフィスやコワーキングスペースを利用
まだ世間からの認知度が低いテレワーク。いくら家族に説明してもなかなか理解得られない人も少なくありません。家庭の問題といえばそれまでですが、同居家族がいる場合、社員1人に労務管理を任せるのはかなりの負担です。
テレワークの労務管理を社員任せにするのではなく、会社でサテライトオフィスを借りたり、コワーキングスペースの月額利用料を負担してあげたりするとよいでしょう。
まとめ
テレワーク経験者の声を聞いてみると、導入前の不安と比べて社員同士のコミュニケーションに不便を感じる人は思いのほか少ないことがわかりました。しかし、勤務時間の長時間化、仕事のONとOFFがつきにくい、人事評価制度が不透明など、解決しなければならないテレワークの課題はまだ残されています。
テレワークの導入にお悩みの企業は今回紹介した解決策やツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
日野 珠希
フリーのライター。SIerでシステムサポート、制作会社で編集ライター、ベンダーで社内システムの運用業務を経て、今は家で働いています。実務経験を活かしてパソコン、インターネット関連、転職などビジネスマン向けの記事を中心に執筆しております。