前編を読む
中編を読む
思い付きをどんどん自分の仕事にしていく
岡さんは『タウンミートアップ』というイベントを企画されているそうですが、これは岡さん自身から出てきたものですか?
- 岡
そうです。一番最初のきっかけは、ベトナムに社員の何人かが偶然集まるタイミングがあって、その時に、せっかく集まるんで『ロコまたは、ロコになりたい人を集めた交流会』というのをやったんですよ。これが結構楽しくて、可能性も感じたので、せっかく僕が移動しながら仕事をしているんだから、訪れた各都市でやってみようと。『1年間で24都市ぐらいやっちゃいましょうか』と企画を始めました。実際に行く都市も自分で決めて実施していって。
皆さん、自分たちの生活スタイルとか、やってきた仕事から発想が出てくるんですね。会社的にもフラットな雰囲気をすごく感じるんですけど、自分たちが主体となって考えて、仕事をする雰囲気は最初から強かったですか?
- 岡
そうですね。1番最初にバイト始めた時はフィードバックがなさ過ぎて、もうこれは自分でやらなきゃいけないなと。
- 一同
(笑)
それは伊東さん、平林さんもそうなんですか?
- 伊東・平林
そうですね(笑)。
- 岡
自分でやって、結果を相談をするみたいな感じじゃないと話が進まないですね。受け身だと進まない。
思い付きを、もちろん自分の中できちんと企画として考えてから出すとは思うんですけど、否定されることは少ないですか?
- 岡
基本は『やってみなよ』スタンスですね。
やってみてから考えて。
- 岡
はい。その後に修正していくみたいな。
それぞれの「マイルール」
自分で自分を管理しながら働かなければならないのがリモートワークだと思うんですけど、そこで気を付けてることはありますか?『これだけはやらない』とか、『こういう時はこうしてる』とか、マイルールみたいなものがあれば。
- 岡
僕はそもそもかなりサボり癖があるんです。家に帰ったら一旦ソファに座って寝っ転がってiPhoneをいじる、みたいな。そういう堕落の習慣ができちゃう。それもあっていろんなところに行くんです。堕落の習慣ができる前に次の場所に行くという風にしていると、サボりが身に付かないで済むから仕事に集中できるんです。実家にいるともう昔からだらだらしちゃうので…。
そういうこともあって周遊してるんですか?
- 岡
そうですね。ネガティブな意味合いもかなり多いです。
なるほど。伊東さんはすごく毛色の違うお仕事を2つ使い分けてらっしゃいますよね。体を動かしますし、アートのお仕事じゃないですか。気持ちが興奮していて、急に事務作業って切り替えはパッとできるんですか?
- 伊東
あんまり気持ちを切り替えるとかということを考えたことがなくて、私は『日曜日のこの時間はトラベロコの仕事』、『この時間はレッスンを受ける』、『この時間は自分のダンスのクラスの時間』とかスケジュールを全部組み立てて、それ通りに動かないと嫌なタイプなんです。それが崩されると逆にイライラしちゃう。
なるほど、がっちり決めちゃうんですね。
- 伊東
アルゼンチンってバスが1時間待っても2時間待っても来ないとか、そういうことが結構普通にあるので、歩いて通える範囲にして決まった時間に作業が出来るようにスケジュールを基本は立ててます。歩いていれば時間通りに着くので…。時間が決まってないとダラダラいつまでもやったり、結局終わりが見えないので、そこはきちっと何時まで!と決めてやってますね。
自分をきちんと把握して、きっちり時間を組むタイプなんですね。伊東さんのようにタイプの違うお仕事を掛け持ちしていて、それをどうやりくりしてるかというのは初めて聞く話なので、とても面白いです。
- 伊東
本当ですか?普通のことだと思ってました(笑)。『みんなやってるんだろうな』みたいな。
皆さん、それぞれに『普通のこと』とおっしゃるんですよ。でも、やっぱり個々の『普通のこと』は他人にとっては普通じゃないんですね。今までにないタイプのお話しで、勉強になります。
- 伊東
いえいえ、とんでもないですありがとうございます(笑)。
平林さんは、マイルールはありますか?
- 平林
テレアポ的な業務も家からやるんですけれども、最初の頃変な違和感があって、うまくできなかったんです。それはなんでだろう考えたら、デスクが悪いんじゃないかと。自宅の机自体が生活の景色そのままだったので、会社のデスクみたいにパソコンを置いて、マウスパッドを置いて、カレンダーを置いて、ペン立てを置いて、今まで自分が過ごしてきた『会社のスタイル』に変えてから、切り替えられるようになりました。『ここに座った時は仕事をしよう』、『自宅だけど、このエリアは仕事場』と区切った、というか。
なるほど。生活と仕事を空間でちゃんと区別したんですね。
- 平林
そうですね。
離れているからこそ必要なのは『雑談』
コミュニケーションや仕事の仕方、離れている仲間に対して工夫していることなどありますか?
- 平林
もともと自分自身が外国に住んでまして、仕事をする時に基本的に東京の人間とやりとりをしてたので、時差やwebミーティングや、文字ベースで連絡をとることに抵抗感はなかったんです。でも今まで企業に勤めていて、すぐ隣に人がいるのが普通だった人がトラベロコに入ってきた時に『1人で作業するのが寂しい』というのをすごく言われたんです。感覚として、すぐ隣に聞ける人だったり、同じ目標に向かっている人がいないというのは、外から見るとちょっと寂しく見える、そう感じる人も多いんだなと思いました。だからコミュニケーションを増やすというか…。
雑談みたいなことですか?
- 平林
そうですね、会わない分かなり頻繁に雑談します。
顔を合わせない分、web上での雑談を大事にしようというのは、リモートワークラボでもよく言っていることなんですけど、皆さんそれを自然にやっていらっしゃるんですね。
- 平林
そうですね。Slackに雑談チャンネルがあって。
なるほど。あっ皆さんすごい頷いてらっしゃる。楽しくやっていらっしゃるんですね。実際に集まったことって今までありましたか?
- 平林
年に1度、社員が全員集まるというのがありますね。たまたまなんですけれども、それとは別件で、最近ここの3人で会ったんですよ。
どこでですか?
- 平林
日本です。ちょうどアカネさん(伊東氏)が日本に帰ってきて、銀座で踊るということを伺いまして、それを観に行きました。そこで初めて3人実物に会うという。
- 伊東
私が3年ぶりにアルゼンチンから帰って来たんです。トラベロコでは毎年年末に忘年会をやってるんですけど、私はずっと参加ができなくて、岡さんたちにお会いしたことがなかったんです。今回ついにお会いできました。
だいぶ印象が違いますよね、立体と平面だと。
- 伊東
そうですね(笑)。すごく新鮮です。
- 岡
バラバラの地域にいると、方向性がブレてくることがあるじゃないですか。なので、1年に1回、会社としての方向性をしっかり定めるみたいな意味で、集まってミーティングと忘年会をしています。数字の振り返りなんかも含めて、次期の方針をフィックスするみたいな感じですね。
なるほど。どれくらい集まるんですか?
- 岡
今年は午前中10人ぐらいでやって、午後はもう少し関係者が加わって、最後に忘年会という形でした。
ロコの皆さんとは、タウンミートアップで実際に会うんですよね。
- 岡
そうですね。今年タウンミートアップを始めてから会うようになりました。
社員やロコの方と物理的に会うという行為で、劇的に変わったことってありますか?
- 岡
かなり発見は多かったですね。それまでは、ユーザーに話を聞くことは多かったんです。体験記みたいな形で取材をしたりしていたので。なので、ユーザーがトラベロコに対して感じてる価値は、大体こういうものなんだなというのは社内的に分かってきたんですけど、一方でロコの人たちがどういう気持ちでトラベロコを利用しているのかが、なかなか見え辛かったんですね。会社とロコの人たちのコミュニケーションチャネルが少なかったので、見える部分が少なかった。そこで実際にタウンミートアップで会っていくと、我々が想像してなかったような形でトラベロコを利用してる人とか、さまざまなものが見えてきて、すごい情報量でしたね、今年は。
それは有意義。続けたい取り組みですね。
- 岡
そうですね。でも、かなりお金もかかるので、やり方や頻度などまた検討が必要ですね。
個人の未来と会社の未来、両方を創造していく
最後に、今後、個人的なことでも仕事のことでも、また会社としての将来でもいいんですけど、やっていきたいことや課題を感じることはありますか?
- 岡
まず会社としての目標は、海外に住んでいる日本人の10%が登録しているような状態に持っていくことですね。そうするとできることが増えていくし、海外日本人プラットフォームとして、新しい道筋が見えてくると思うので、そこまではなんとか自分たちで広げていきたいと考えています。個人的には、趣味を仕事にちょっとずつでもしていきたい(笑)。
どんなご趣味ですか?
- 岡
サッカーを見るのがすごい好きなんですよ。オタクレベルで好きなので、それ関連でいろいろやっていこうと思っているので、まずは時間を作るところから。来年は勉強もかねて、イタリアにちょっと住んでみようかなと思ってます。
この働き方だと、そういう風に趣味から仕事につなげてみたり、副業なんかもやりやすいですね。会社としても副業は大丈夫ですか?
- 岡
OKですね。OKと言われましたけど、まだスタートアップなので、なかなか時間が割けない現状(笑)。
- 伊東
私は、『3年間タンゴを勉強する』と決めてアルゼンチンに来たんですけど、ちょうど今年の年末でその3年間が終了になるんです。
これからは独り立ちして、一人前のタンゴ講師になりたいなと。留学としては区切りですが、2019年以降もアルゼンチンに住みながらよりダンサーとしても精進しようと思っています。留学中、仕事がみつからない時、トラベロコのお仕事をこちら(アルゼンチン)でさせてもらってなんとか生きてこられたんです。それはロコとしても、トラベロコの本部スタッフとしても、両方にすごく感じているんですね。なので、私と同じように海外にやりたいことがあって出ていった人が活動出来るサポートを、もっとトラベロコを通じてしていきたいなと思っています。メンターロコを形にして、役立てていけたらなと。
- 平林
今回のインタビューの件もその一環なんですが、会社の名前を売っていくのが私のミッションなので、来年にはもっと多くのメディアに働きかけて、『トラベロコ』という名前が、世間の皆さんに『あの会社ね!』とすぐにわかってもらえるくらいにしたいと思っています。それを自分の実績にして、ちょっと今、違う事業のお手伝いをしているので、そっちのPR活動にも生かしていくことを目標にしてます。
このインタビューが少しでもお役に立てれば嬉しいです。
- 平林
大変ありがたいです、本当に。
皆さん、本日はどうもありがとうございました。
最初から読む
トラベロコについてはこちら
取材後記
みなさんひとりひとりのワークスタイルが確立していて、能動的に働いている印象を受けました。程よくコミュニケーションを取りつつ、自由に働けているのがとてもよく伝わってきました。みなさんお話もお上手で、とても楽しいインタビューになりました。
ますますのご発展をお祈りいたします!
(リモートワークラボ編集部)
Remote Work Laboではリモートワークを行なっている企業の記事を作成しています。
取材をご希望される方は以下のボタンより、お気軽にご相談ください。
ご相談はこちら
この記事を書いた人
土佐光見
リモートワーク研究所研究員・ライター。
webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。