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在宅勤務に関する就業規則、ポイント5つ【例文も紹介】

在宅勤務(テレワーク)を導入したい!就業規則は見直すべき?

事務所以外の場所(自宅を含む)で働く「在宅勤務制度(テレワーク)」。導入するにあたって重要な事柄のひとつに就業規則があります。

在宅勤務制度が今までなかった会社に関しては、従来の就業規則と照らし合わせて、改定したり新たに設けたりする必要があるケースがほとんどです。では、一体在宅勤務に対するルール作りには何が必要なのでしょうか? 押さえておくべきポイントを事例付きでご紹介します!

1. 在宅勤務勤務の条件

まず、「どのような状態を在宅勤務(テレワーク)と呼ぶのか」を定義する必要があります。

(例)
テレワーク勤務規程(在宅勤務の定義)
第○条 在宅勤務とは、従業員の自宅および自宅に準ずる場所において情報通信機器を利用した業務を言う。

次に条件です。在宅勤務の条件としてよく定められるのは、「対象者」「場所」「期間」です。どの程度の自由度にするのか、会社の規模や仕事内容、リスクマネジメントの面から考えても条件の幅は様々です。

(例)対象者を規程する場合

第○条 在宅勤務の対象者は、就業規則第○条に規定する従業員であって、次の各号の条件を全て満たした者とする。
(1)在宅勤務を希望する者
(2)当該従業員の職務内容を自宅で行うことができるものであること
(3)会社が在宅勤務が必要であると認め許可したこと

希望したものが選択できる設計にするのか、育児中・介護中など特殊な状況の場合だけに限定するか、職種や年次を組み込むかなど、あらかじめ会社側でコントロールする幅を決めておきましょう。

(例)期間を規程する場合

第〇条 在宅勤務の期間は、在宅勤務開始日から1か月とする。
2 上記の期間を超えて在宅勤務の必要があるときは、従業員は、在宅勤務期間終了予定日の1週間前までに会社に在宅期間勤務の延長を申請して、承認を得る。
3 従業員は在宅勤務の期間中であっても、在宅勤務の必要がなくなったとき、あるいは、会社から通常勤務への復帰を命じられたときは、通常勤務に復帰しなければならない。

在宅勤務に一定の期間を設ける、期間は設けないが出社する頻度を決める、月間ないし年間に在宅勤務できる日数を決めるなどのやり方があります。

(例)勤務場所を規程する場合

第〇条 在宅勤務者は自宅においてのみ就業するものとし、自宅以外で就業してはならない。

セキュリティをどのくらい確保できるのかによって、許可できる場所も変わってきます。セキュリティガイドラインの作成も必須事項です。

2. 労働時間

在宅勤務であっても、フレックスタイム制、みなし労働時間制、裁量労働時間制など、国で定められたどの労働時間制度も適用することができます。各社の実情や労働者の仕事の仕方でどれを適用させるのかを考えなければなりません。通常の労働時間に関する規程に、在宅勤務時の規程を追加するケースが多いようです。

(例)通常の労働時間制の場合

第○条 在宅勤務時の労働時間については、就業規則第○条に定めるところによる。
2 前項に関わらず会社の承認を受けて始業時刻・終業時刻・休憩時間の変更をすることができる。
3 前項の規定により所定の労働時間が短くなる者の給与については、育児・介護休業規程第○条に規定する勤務短縮措置時の給与の取り扱いに準ずる。

(例)みなし労働時間制の場合

第○条 在宅勤務時の労働時間については、就業規則第○条に定めるところによる。
2 前項に関わらず、在宅勤務を行う者が次の各号に該当し、会社が必要と認めた場合は、就業規則第○条を適用し、第○条に定める所定労働時間の労働をしたものとみなす。この場合、労働条件通知書等の書面により明示する。
 (1)従業員の自宅で業務に従事していること
 (2)会社と在宅勤務者間の情報通信機器の接続は、在宅勤務者に任せていること
 (3)在宅勤務者の業務が常に所属長から随時指示命令を受けなければ遂行できない業務ではないこと
3 前項に関わらず、就業規則第○条の第○項、第○項に概要する者は、それぞれ各項に規定する時間労働したものとみなす。

裁量労働制に関しては少し注意が必要です

3. 時間外・休日勤務

オンラインタイムカードやバーチャルオフィスを導入する場合は、通常の勤怠管理規定のままでも問題ありませんが、会社側で在宅勤務者の労働時間を把握できない場合などは許可制ないし禁止にする会社もあります。

(例)時間外・休日勤務を所属長の許可制にする場合

第○条 在宅勤務者が時間外労働・休日労働および深夜労働をする場合は、所定の手続きを経て所属長の許可を受けなければならない。
2 時間外および休日労働について必要な事項は就業規則第○条の定めるところによる。
3 時間外、休日および深夜の労働については、給与規程に基づき、時間外勤務手当、休日勤務手当および深夜勤務手当を支給する。

(例)在宅勤務者の時間外労働や休日労働を原則認めない場合

第○条 在宅勤務者については、原則として時間外労働、休日労働および深夜労働を認めない。ただし、やむを得ない事由がある場合は、所定の手続きを経て所属長の許可を受けなければならない。

4. 出退勤管理

出勤・退勤の時間管理も考えられる手段をあらかじめ決めておく必要があります。

(例)
第○条 在宅勤務者は、就業規則第○条の規定に関わらず、勤務の開始および終了について次のいずれかの方法により報告しなければならない。
(1)電話
(2)電子メール
(3)勤怠管理ツール

(例)業務報告として勤怠管理も組み込む場合

第○条 在宅勤務者は、定期的または必要に応じて電話や電子メール等で所属長に対し、所用の業務報告をしなければならない。

5. 在宅勤務中の費用負担に関するルール

在宅勤務中は、自宅のインターネットを使用したり、作業環境を在宅勤務者自身が整えることもあります。接続の費用や光熱費の負担についてもルールが必要です。

(例)発生した費用をその都度申告する場合

第○条 会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
2 在宅勤務に伴って発生する水道光熱費は在宅勤務者の負担とする。
3 業務に必要な郵送費、事務用品ひ、消耗品費その他会社が認めた費用は会社負担とする。
4 その他の費用については在宅勤務者の負担とする。

(例)在宅勤務手当を支給する場合

第○条 在宅勤務者が負担する自宅の水道光熱費および通信費用(ただし、資料送付に要する郵便代は除く)のうち業務負担分として毎月月額○○円を支給する。

(例)パソコンなどを会社が貸与する場合

第○条 会社は、在宅勤務者が業務に必要とするパソコン、プリンタ等の情報通信機器、ソフトウェアおよびこれらに類するものを貸与する。なお、当該パソコンに会社の許可を受けずにソフトウェアをインストールしてはならない。

会社の状況に見合った就業規則を作りましょう

もちろん就業規則に必要な項目はこれだけではありません。会社の体制やリモートワークの方法、普及率によって必要な事柄は様々です。ご紹介したポイントを踏まえつつ、専門家と相談しながら会社にあった規則を作成することをおすすめします。

今回は就業規則についてご紹介しましたが、他にも準備すべきところはあります。一覧でまとめてみましたのでチェックしてみてください。

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