リモートワークラボ

テレワークが長時間労働に陥りやすい原因は環境?【働きすぎのリスクと改善方法】

テレワークのデメリットとしてよく挙げられるのが、長時間労働になりやすいこと。会社に出勤する必要がなく、その分の時間を仕事に回すことができたりと、効率的に働けるのがメリットのテレワークにおいて、なぜそのような事態に陥ってしまうのでしょうか。

今回は、働きすぎのリスク、テレワークが長時間労働になりやすい理由や改善方法をご紹介します。

テレワークは長時間労働になりがち?

仕事の効率化、生産性の向上を目的に取り入れられているテレワークですが、人によっては長時間労働になってしまうことがあるようです。

リクルートワークス研究所の調査によると、働く場所を選ぶことができる男性の17.3%が週に55時間以上働いているという結果が出ています。

リモートワーク 研究所:https://www.works-i.com/surveys/panel-surveys.html

長時間労働になりやすいのは、なぜ?

テレワークが長時間労働になりやすい理由として考えられることを、いくつかピックアップしました。

仕事とプライベートが曖昧になる

自宅で働くことになるため、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。仕事中に別のことに意識が向いてしまったり、集中できずにダラダラと働いてしまうことで、労働時間がのびてしまいます。

成果で評価される

テレワークは従業員の働いている姿が見えないため、成果で評価されることがあります。そのため、会社にいた時と同じ成果を出せるかを不安に思う人は多く、「結果を出さなければ」と、つい働きすぎてしまいます。

チーム間のコミュニケーションが難しい

直接顔を合わせないため、うまく意思疎通ができず、やり直しが発生するケースがあります。また、会話にタイムラグが生まれ、対応までに時間がかかることや、遅い時間からの作業になってしまうこともあります。

働きすぎのリスク

病気発症の可能性が高まる

英国University College Londonでは、もともとこの病気ではない約60万人の男女を対象に、調査中に冠動脈疾患と脳卒中を発症した人を残業時間の長さごとにグルーピングしました。

週35~40時間働く人に比べて、

【週41~48時間働く人の場合】
冠動脈疾患は1.02倍、脳卒中は1.10倍、発症率が上昇。

【週49~54時間働く人の場合】
冠動脈疾患は1.07倍、脳卒中は1.27倍、発症率が上昇。

【週55時間以上働く人の場合】
冠動脈疾患は1.08倍、脳卒中は1.33倍、発症率が上昇。

55時間以上の労働ということは、月60時間ほどの残業で、病気発症のリスクを高めてしまうことがわかりました。

さらに、フィンランド労働衛生研究所がおこなった調査では、1日の労働時間が7~8時間の人に比べて、11時間の人が重いうつ病を発症する確率は、2.3~2.5倍という結果も出ています。

生産性が低下する

2015年、OECD諸国の中で1人あたりの労働時間がもっとも短いのはドイツで、1356時間でした。対して日本は1710時間で、年間354時間もの差があります。さらにドイツでは、もし残業をしたら、別の日に早めに切り上げるなど、その分を相殺しており、有給取得率もほぼ100%。これらが守られない場合には、経営者に厳しいペナルティが課されます。

一方で、労働生産性に関しては、ドイツが日本を50%近く上回りました。この結果から、労働時間が10%減少すると、1時間当たりの労働生産性が25%高まることがわかり、内閣府でも、「労働時間が短いと生産性が高い」と発表しています。

短時間労働が生産性の向上に結び付く理由として、「従業員のモチベーションを高める」という理由が挙げられています。そのため、従業員の健康を確保するためだけでなく、生産性の観点からも長時間労働の是正が必要だと提言しています。

内閣府:https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je17/index_pdf.html

長時間労働を是正する方法は?

長時間労働を是正するためには、企業側と働く側、それぞれが現状を見直す必要があります。

企業側がすべきこと

■就業規則を整備する

テレワーク導入前に始業・終業時間と連絡方法を決めておくとよいでしょう。企業によっては、休憩時間も定め、あらかじめ残業を禁止しているところもあります。また、勤務実態を把握できるログ管理や勤怠管理システムを導入するのもおすすめです。

■コミュニケーションを取る時間をつくる

業務を円滑に進めるためにもコミュニケーションは重要。チャットツールで常に会話ができるようにしたり、定期的にWeb会議をおこなうことで、意思疎通や情報共有ができるだけでなく、チーム意識も高まるでしょう。

働く側がすべきこと

■セルフマネジメント

オンとオフの切り替えは自分次第。「時間内に質の高い仕事をする」という意識が重要です。また、「〇時に必ず休憩を取る」「〇時以降は絶対に仕事をしない」などのルールを決め、それをきちんと守るようにしましょう。

まとめ

テレワークが長時間労働に陥りやすいのには、いくつかの理由がありました。しかし、それらは今の働き方を見直せば、改善できるものばかりです。しっかりと働く環境を整備することで、テレワークの効果を最大限に引き出したいですね。

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