リモートワークラボ

災害時に役に立つ!テレワークとBCPの関係

台風や降雪、大雨といった気象条件や地震といった自然災害が絶えない日本。さまざまな緊急事態が起きたときにも、企業活動を続けたり早急に復帰させたりするためのBCPは、日本企業にとっては必要不可欠であり永遠の課題と言っても過言ではありません。このようななかで、BCPの観点から効果を発揮することが期待されているのが、働き方改革でいま注目を集めるテレワークです。そこで今回は在宅勤務をはじめとするテレワークをBCPの観点から詳しく解説していきます。

BCP(事業継続計画)とはなにか

まず、BCP(事業継続計画)とはなにかについて確認していきます。中小企業庁が策定している「BCP運用策定指針」では、BCPについて以下のように定義しています。

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

(中小企業庁「中小企業BCP運用策定指針」より)

このようにBCPというのは、地震や豪雨をはじめとした自然災害、火災やテロといったさまざまな緊急事態に直面したときに、中核事業を継続できるよう、あるいは事業を早期復旧できるようにするために、あらかじめ作成する仕組みや計画のことを指します。企業が緊急事態にあったとき、復旧が遅れたり、事業継続ができなくなったりすると、供給経路の分断や働く場そのものが失われるおそれが出てきます。さらに深刻な場合には事業の廃止や倒産といった事態に陥る可能性もあります。大きな被害を受ければ、産業集積そのものが失われたり、組織内のみならず、地域の雇用や経済に大きな影響がでることになり、被災地以外へ影響が広がることにもつながるのです。

BCPにおけるテレワークが果たす役割

BCPは、いざというときに企業が存続して、乗り越えていけるよう、企業や事業を守るための計画です。この解決策として効果が期待されているのが、いま働き方改革で注目を集めているテレワークです。テレワークとは「テレ(離れたところ)」と「ワーク(働く)」とを組み合わせて作られた造語です。ITを活用することで、所属する組織から離れ、場所や時間にとらわれない働き方のことを指します。

テレワークは、働き方改革のなかで、政府も普及を進めるためにさまざまな政策を実施しており、あらゆる組織で取り組まれつつあるのが現状です。オフィスに出社しなくても仕事ができるようにすることで、それまでに比べて場所や時間にとらわれない、自由な働き方を確保できます。それにより労働人口の確保や業務の効率化、コスト削減といったさまざまな効果が期待されています。

BCPという観点からもてもテレワークは効果を発揮するとして注目されています。台風や豪雨、降雪といった自然災害で交通機関がストップし、オフィスにたどり着けないような場合でも、場所にとらわれず働ける仕組みを整えておくことで、事業を進めることが可能になります。もちろん大災害やテロといったさまざまな緊急事態に対応することも可能です。

東日本大震災によりBCPの必要性が浮き彫りに

2011年3月の東日本大震災では、各地で地震や津波による被害が発生しました。またその後の節電際作による計画停電が行われるなど、被災していなくとも事業の継続が難しくなる事態が発生しました。とくに情報共有や事業運営において、インターネットやICTが効果的に活用され、重要性が明らかになりました。

ICTは産業や暮らしを便利にするだけでなく必要不可欠なツールとなりました。一方でICTの活用には一定のスキルやリテラシーも必要で、運用が遅れると格差が生じる危険性があります。平常時だけでなく緊急時に伴っても格差が生じることがこのとき浮き彫りになりました。BCPは緊急事態が発生しても事業を継続し、組織を守るための必要不可欠なものといえます。ICTの活用や働き方改革に合わせて、平常時から緊急事態が起きたときのために備えることが大切です。

BCPを策定するには

BCPは、緊急事態において事業を継続する、早期復旧させるための計画です。日常からその運用方法について策定し備えておく必要があります。BCPを効果的に運用するためには、策定だけでなく、訓練で実際に運用してみて、課題などをあげ改善していくことも大切です。では実際にBCPを策定するときにおさえたいポイントについて紹介します。

策定

事業を整理し、優先して継続すべき、あるいは復旧すべき中核事業がなにか、あらかじめ特定しておくようにしましょう。その上で、緊急事態が発生したときに、どのように事業継続を行うか具体的に計画します。その際、中核事業の目標復旧時間を決めておくことも大切です。

訓練

避難訓練と同じように、緊急事態が発生したことを想定して、平常時に訓練しておくことが大切です。実際に運用してみて、緊急事態に迅速に対応できるよう、日頃から在宅勤務などのテレワークそのものに慣れておく必要があります。

改善

実際に訓練を通して運用してはじめてわかる課題などを明らかにすることも大切です。課題を踏まえて計画を修正し、さらに改善していくことで、より実践的で運用のしやすいBCPをつくることができます。

テレワークの活用でBCPの見直しも

ICTを活用し、時間や場所にとらわれないで働くことのできるテレワーク。働き方改革といった平常時だけでなく、自然災害などの緊急事態に直面した際にも、効果を発揮してくれることが期待されます。働き方改革でテレワークを進めるにあたっては、BCPについても合わせて検討することで、よりその効果を発揮してくれることでしょう。テレワークの活用で、平常時にも緊急事態にも強い企業体制づくりが求められています。

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