働き方改革の波により、時間や場所にとらわれないワークスタイルを取り入れる個人や企業が増えています。その中で、特に注目を集めている「SOHO(ソーホー)」という働き方をご存知でしょうか?
今回は、SOHOの意味や働き方、ノマドやテレワークとの違いをご紹介します。
SOHOとは?
SOHOとは、「Small Office Home Office」の略で、パソコンやインターネットを活用して、自宅や小規模のオフィスで働くこと。
財団法人日本SOHO協会では、「ITもしくはICT(information and communication technology)情報通信技術を活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者」と定義しています。
必ずしも法人の設立が必要というわけではなく、個人で事業を営むことも可能です。
「ノマド」「テレワーク」との違いは?
場所を問わない働き方はいくつかありますが、それらとSOHOには以下のような違いがあります。
ノマド
「Nomad(ノマド)」は、「遊牧民」を意味する言葉。企業に所属している、所属していないに関わらず、特定の場所ではなく、さまざまな場所で働くことを言います。
また、そのような働き方をする人は、「労働者」を意味する「Worker(ワーカー)」を組み合わせた造語で「ノマドワーカー」と呼ばれています。
ノマドがカフェやコワーキングスペースなど、好きな場所で働くのに対し、SOHOは基本的に自宅やオフィスを職場とします。
テレワーク/リモートワーク
「telework(テレワーク)」は、Tele=「離れた所」、Work=「働く」を組み合わせた造語で、自宅やそれ以外の場所で情報通信技術を活用して働くことを言います。
SOHOとの違いは、ノマドと同じく場所にとらわれずに働ける点。ただし、会社によっては就業規則で働く場所を制限される場合や、完全に在宅ではなく、打ち合わせなどで出社が必要な場合があります。
SOHOに向いている職種は?
クライアントから外部委託を受け、業務を遂行し、納品まで行うのが一連の業務の流れです。
・ライター
・翻訳者
・イラストレーター
・Webデザイナー
・システムエンジニア
・プログラマー など
上記のような、インターネット環境とパソコンがあればできる仕事、個人でひとつの仕事を完結させられる職種が向いていると言えるでしょう。
SOHOでは、自分でクライアント企業を開拓するのも仕事のひとつ。最近では、オンライン上で仕事の受注や納品ができる「クラウドソーシング」を利用する人が増えています。
テレワークの始まり
オフィス以外の場所で仕事をする働き方について、最近の施策のように思っている方もいるかもしれません。しかし、実はその歴史は古く、1970年代にアメリカ・ロサンゼルスで、エネルギー危機対策とマイカー通勤による大気汚染緩和の目的で行われたのが始まりだと言われています。
1980年代前半には、パソコンの普及と女性の社会への進出に伴い注目され、その後、アメリカや欧州では、ごく普通の働き方として定着しました。
日本で導入されたのは1984年。NEC が東京・吉祥寺にサテライトオフィスを設置したのが最初だとされています。
テレワークのメリットは?
国土交通省の「平成29年度 テレワーク人口実態調査」によると、テレワーク制度などを設けている企業のテレワーカーの70.6%が、テレワークの実施について「全体的にプラス効果があった」と回答しています。
平成29年度 テレワーク人口実態調査:http://www.mlit.go.jp/common/001227706.pdf
具体的にはどのようなメリットがあるのか、いくつかピックアップしました。
通勤に使っていた時間を他にことに回せる
同調査でプラス効果として多かった回答が「自由に使える時間が増えた」 で47.1%。次いで「通勤時間・移動時間が減った」が46.5%でした。
自宅などで働くことになるので、通勤の必要がありません。その分の時間を仕事や家事、家族と過ごす時間などに回すことができます。
また、通勤ラッシュとは無縁となり、ストレスが軽減されることも大きなメリットと言えます。
作業に集中でき、業務効率が上がる
「業務効率が上がった」という回答も46.3%と多かったです。
オフィスで仕事をしていると、来客や電話対応、ミーティングなど、作業を中断して対応しなくてはなりません。テレワークでは、自分の仕事だけに集中して取り組むことができるため、業務効率化や生産性の向上につながります。
自分のペースで働け、家事や育児とも両立できる
ワークライフバランスの実現は、業務効率やモチベーションに好影響をおよぼすと言われています。
テレワークは個人の裁量で労働時間や休憩時間を決められるケースが多いので、自分のペースで仕事が進められます。子どもがいる場合は、病気などで保育園や学校をお休みさせる時も、仕事に穴を開けずに面倒を見ることができます。
SOHOの場合には、さらに自分でクライアントや仕事を選べ、頑張ったら頑張った分だけ報酬として返ってくるというメリットもあります。
まとめ
近年、雇用や就業形態の多様化が進み、多くの人が働き方を自分で選べるようになってきました。
今後のキャリアを含め、自分にフィットする働き方はどれなのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
上條真由美
長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。