ストレス社会と言われている現代日本で、世間的な認知度が高くなったのが「うつ病」。精神的もしくは身体的にストレスが積み重なるなど、さまざまな原因から脳の機能障害が起きる病気です。
もし、うつ病になってしまったら?仕事は辞めなくてはならないの?可能であれば、「在宅勤務」という働き方を検討することをおすすめします。
うつ病は身近な病気
日本人4,130名を対象とした「こころの健康についての疫学調査に関する研究」によると、うつ病の生涯有病率は 6.2%、約16人に1人が経験するという結果が出ました。うつ病は特別な病気ではなく、誰もがなる可能性がある病気だと言えます。
また、ある日突然発症するのではなく、少しずつストレスが溜まっていくことによって、心身に変調が起こるのだそう。今まで不調がなかった人でも、ある日を境に日常生活に支障が出てしまう場合もあるので注意が必要です。
こころの健康についての疫学調査に関する研究:
https://www.khj-h.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/soukatuhoukoku19.pdf
おもな症状は?
うつ病では、心と体のどちらかもしくは両方に、さまざまな症状があらわれます。
心の症状
・気分が落ち込む
・やる気が出ない
・集中力がなくなる
・イライラする
・必要以上に自分を責めてしまう など
体の症状
・ぐっすり眠れない
・疲労感や倦怠感がある
・食欲がない
・頭痛がする
・肩こりや背中の痛み など
重症度について
重症度は生活への支障の程度から判断されます。
軽症うつ病:社会生活に支障がある状態
中等度うつ病:日常生活に支障がある状態
重症うつ病:日常生活をおくれない状態
「うつ病かな?」と思ったら
無料診断できるWebサイトもありますが、うつ病と症状が似ている病気もあるので、その結果のみでは正確な診断をすることはできません。また、うつ病の場合、専門機関での適切な治療を受けることが重要なので、「うつ病かな?」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。
うつ病になったら仕事はどうすればいい?
うつ病のおもな治療法は休養、薬物療法、精神療法・カウンセリングの3つ。しかし、通院すればいいというわけではなく、ストレスの原因を取り除かなくては根本的な解決にはなりません。そのため、それが会社や仕事にあたる場合は、なんらかの対処が必要です。
異動願いを提出して人事異動で部署を変えてもらったり、しばらく休職させてもらうのもひとつの手。ほかには、「在宅勤務」という働き方があります。
会社が在宅勤務に対応しているか確認
在宅勤務を希望する場合、まずは勤務先の会社に在宅勤務制度があるかを確認しましょう。制度があるのであれば、人事や総務の担当者へ相談してみてください。その際に、疾患があることの証明として診断書が必要かも併せて聞いておくとよいです。
もし制度がなかったとしても、時短勤務やストレスが多い通勤ラッシュの時間帯を避けた出勤時間への変更など、個別の対策を考えてくれる可能性があるので、人事担当者や上司にかけあってみてくださいね。
仕事によって在宅勤務ができる・できないがある
在宅勤務の制度はあっても、仕事内容によって在宅勤務ができるケースとできないケースがあります。
在宅勤務が向いている仕事
Webデザインやプログラミング、ライティングなど、自宅でできる仕事であればスムーズに在宅勤務に移行できそうです。最近では事務も在宅勤務OKとしている会社があるので、難しくなさそうです。
在宅勤務が向いていない仕事
飲食業や接客・販売業など、来店したお客様への対応が仕事となる場合、在宅勤務は難しいです。また、工場でのライン作業や機械の運転など、社内にある設備を使わないとできない仕事も難しいでしょう。
在宅勤務のメリット・デメリット
病中の在宅勤務にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、いくつかご紹介します。
メリットは?
■人と関わらなくてよい
うつ病では、人と関わることを大きな負担に感じることがあります。在宅勤務であれば、自宅で行う作業が中心になるため、メールなどで最低限のコミュニケーションが取れれば、仕事を完結させられます。
■体調に合わせて働くことができる
会社の規定にもよりますが、個人の裁量で勤務時間や作業量を決められることが多いので、体調と相談しながら働くことができます。朝起きるのがつらい場合には午後から仕事をするなど、自分のペースで仕事を進められます。
デメリットは?
■孤独を感じやすい
人と話をする機会が極端に減るため、孤独を感じやすいです。寂しさがストレスにならないように、適度に人と会う時間をつくったり、カフェや買い物に行くなど、気分をリフレッシュさせる方法を見つける必要があります。
■働きすぎてしまう
就業時間が決まっていない場合、何時まででも仕事ができてしまうので、働きすぎてしまう可能性があります。病気で在宅勤務をしているという罪悪感から、仕事を断れず、つい頑張りすぎて長時間労働になってしまうケースもあるようです。
まとめ
在宅勤務は、自宅でリラックスして仕事をしながら体調管理ができます。ストレスのない環境が、うつ病の症状を改善させ、再発防止にもつながるでしょう。
今後、もし心や体に不調を感じた時は、すぐに医療機関を受診し、人事や上司に相談して、無理のない働き方を選んでくださいね!