皆様、こんにちは。小澤美佳(こざわ みか)です。
私は2008年に株式会社リクルートへ入社し、採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に携わっていました。また、リクナビ副編集長として数多くの大学でキャリア・就職支援の講演もしており、HR領域全般に対しての知識・経験は持ち合わせております。2018年に中米ベリーズという国へ単身移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年より現在働いている株式会社ニットに入社し、カスタマーサクセスから営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターも行っています。
趣味は旅行、そしてダイビングです!コロナで海外には行けていませんが、ワーケーションを通じて沖縄で最高の1週間を過ごしました。
▼ワーケーションのレポートはこちらからご覧いただけます!https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000059127.html
私現在働いているニットは「未来を自分で選択できる社会をつくる」をビジョンに掲げる、フルリモートを前提として創業した会社です。現在は世界33か国、従業員400人全員がリモートワーカーとして働いています。
コロナの影響でテレワークという新しい働き方が浸透し、多くの方がオンラインでの働き方・事業の進め方で迷われていると思います。5年前の創業時よりフルリモートで事業を進めてきた当社は、そういった企業様に向けてオンラインマネジメントについてセミナーを行ったり、業務サポートを行ったり様々なサービスを提供しています。
今回はその中のお悩みの1つ「テキストコミュニケーションでのマネジメント方法」について皆様にお伝えします。
言葉に対しての想い
そもそもテキストメッセージでは想いが伝わりにくいと考えている人もいるかもしれません。
言葉に体温は乗せられるか?結論、私は乗せられると思っています。
下記、私が言葉に対して考えていることです。(過去のツイートより抜粋)
そもそも、思考や想いは、言葉にしなくては、思っていないのと同じです。だからこそ、思ったことは言葉にしています。その時に、使う言葉によって、全然印象が違うからこそ、使う言葉には、気を付けたいと常日頃思っています。
◆言葉を使用する際に気を付けていること ・選定するワード ・話し方(抑揚、緩急など) ・言うタイミング+・伝える時の想いの強さ |
テキストコミュニケーションのコツの紹介
「テレワーク時代こそ、テキストコミュ力を磨くべし」と私は考えています。
そうは言ってもどのようなメッセージを送れば相手と円滑なコミュニケーションができるか迷いますよね。今回、簡単にできるコツをご紹介します。
-今からできるテキストコミュニケーションのコツ3選!- ◆語尾に一言追加する BAD例:了解 GOOD例:了解!ありがとう!、了解(^^)、了解です~♪♪ このように、ただ「了解」と言われても、「非常にすばらしい」のか「可もなく不可もなく」のかなど、どれくらいの温度感なのか伝わりにくいですよね。 語尾のちょっとした一工夫があるかどうかで、受け取り手の印象が全く違います。関係性が築けていない場合は、普段より一言、プラスして褒めましょう!
◆褒めてから、指摘する BAD例:●●の数字おかしいから、直しておいて GOOD例:××さんの▲▲の仕事、すごく良かったね!ありがとう!それで、●●の数字なんだけど、ズレていると思うので、見直しておいてもらえるかな? テキストメッセージで指摘だけすると、攻撃的に映り、心理的安全性がなくなります。指摘したい時ほど、「褒める部分を褒めてから、指摘する」ということを大事にしましょう。
◆カモをつける BAD例:報告書の数字、間違っています。 GOOD例:報告書の数字、間違っているかも。 何か指摘をする時に、語尾に「カモ」を付けるだけで、文章がとても柔らかくなります。これは一番実践しやすい方法だと思います。 |
テレワークになると、基本的にテキストでのコミュニケーションになるので、雑なコミュニケーションだと、仕事が前へ進まないし、何より、コミュニケーションコストが掛かってくるので、メンバーからの信頼が確実に落ちていきます。日々のやりとりを積み重ね、信頼関係を構築することで、円滑に仕事を進めていくことができます。
各レベルに応じたマネジメント方法の紹介
もちろん、テキストコミュニケーションだけではマネジメントはできません。下記のようにレベルに応じてマネジメントをしていくことが大切です。
<新人へのマネジメント> ※この場合の「新人」は新卒だけでなく、業務に着任したばかりの人を指します。
◆コミュニケーションの頻度設計 オンラインでの対新人マネジメントにおいては、コミュニケーションの質や量ではなく、頻度を設計することが大事です。月に1回の2時間の1on1より、毎日5分の1on1の方が効果的です。 例)コミュニケーションのタイミングの一例・9:30にオンラインで朝会。「気になったニュース」「今日のやること」など、一人1分ずつ話す。最後にマネージャーからみんなへの激励をし、「今日も一日頑張ろう!」と元気よく始める。 ・18:30頃に、全員日報を提出。マネージャーは全員に対してコメントを返す。メンバーはマネージャーからのコメントに「オンラインでもきちんと見てもらえた!」「明日も頑張ろう!」と思えますし、他の人もそのコメントから学びを得ることができる。 ・新卒入社などの社会人としての新人は、毎日5分間の1on1。毎日顔を見て話すだけで、緊張感が保てる。日報を元に会話をするのも良い。 ・最低でも、週1回以上の30分の1on1を。「なぜ出来ていないのか?」よりも「どうやったら出来るかな?」を一緒に考えてあげてください。
◆評価指標:結果50%プロセス50% 新人の評価システムでは通説ですが、新人であればプロセスの評価も重要です。KPI(※)の設計とプロセスをやり切っているのかという進捗管理が肝になります。 ※:Key Performance Indicatorの略。目標を達成する上で、その達成度合いを計測するための定量的な指標のこと。
◆育成:アメとムチ アメ役とムチ役はオンラインこそ重要です。特に、ネガティブな情報や叱ったりする情報をテキストで送ると、冷たい人のように感じられます。それにより、メンバーの心理的安全性がなくなり、委縮してしまうのです。そのため、アメ役とムチ役が連携をとって、叱りたい場合は、その後にすぐフォローをすることが大切です。
◆今後の採用:自律性と忍耐力 基本的に、対面で教育できない状況になるため、下記の2点を見ていく必要性があります。 ①自律性:自分で自分の仕事を創っていけるか?指示待ち人間でないか? ②忍耐力:ストレス耐性があるか?もしくはストレスを解消できるか?会社としてテレワークを本格的に導入していく場合、採用の在り方や基準も変化させる必要性も出てくるでしょう。 |
<ベテランへのマネジメント> ◆評価:結果100% 目標を達成したか、しないかの2択です。プロセスが良くても目標を達成していなければ「全て、未達」です。ベテラン層にはこのような思想でマネジメントしないと、テレワークのマネジメントは上手くいきません。理由は下記です。
◆「プロセスマネジメント」から「結果マネジメント」へ パワーをかけずとも、きちんと考えて結果が出れば評価に値します。たとえ、週に3日しか働かずに、残りの2日は遊んでたって、それで成果がちゃんと出るなら、それでいいという発想です。ベテラン層にマイクロマネジメントでプロセスを細かく見ていくと、結果的に、報告作業などの長時間労働につながり、ストレスに繋がりかねません。また、ベテラン層になるにつれて業務の内容や範囲も広くなってくるため、自身で業務の進め方を設計し、生産性高く結果を出すことが重要になります。
◆とにかく、巻き込む リモートで仕事をしていると、些細なことに孤独や不安を感じやすくなります。そのため、真面目な人ほど、1人で抱え込むことになってしまいがちです。大切なことは、「一緒に考える」というスタンスでいること、そして自分の仕事にも「ちょっと相談させてほしい」と巻き込んでアイディアを貰ったりすることです。そうすることで、各段に良い仕事が生まれやすいかなと思います。私も、「分かんない!困っている!」と周りに声をかけながら、台風の目のように、色々な部署の方を巻き込んでいくスタイルで仕事を進めています(ニットの皆さん、いつもありがゆうございます!)。結果として、その方が早かったり、大きな仕事になっていくので、巻き込んで、推進していくことは凄く大事なことだなと思います。また、チャットなどのテキストコミュニケーションが増えると思いますが、ネガティブなことや、テキストでディスカッションが始まっちゃった場合は、「今、少し話せます?」と5分でもいいから話しちゃった方が早期解決につながります。
◆OKRよりMBO(※)の方が合っている OKRだとその数字は目安で大きく越えていこう!という思想なので、目標値が曖昧になりがちです。そのため、会社やチーム、個人の全てにおいて、明確に「ここは100%でやり切ろう!」というMBOの制度の方が合っているように思います。※OKRとは目標の設定・管理方法のひとつ。Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略。「MBO」とは個人またはグループごとに設定した目標の達成度を個人で管理する方法。 |
おそらく1年後には、「オンラインでのマネジメント経験」というものの価値がグッと上がると思います。オフ/オンラインでのやることを整理し、目標・役割分担・推進方法を策定し、コミュニケーション設計をしていきましょう。結果として、コロナ禍でも実績を作っていました!という流れを作ることができたら、そのマネジメント経験の市場価値は相当高くなると予測します。
少しずつの積み重ねが大切
当社もフルリモート組織で運営していくにあたり、創業から5年間試行錯誤してここまできました。安定した体制を構築するまでには時間を要します。日々のコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を構築していくように、企業としての文化も一人ひとりの社員の行動や考え方の積み重ねで出来上がっていきます。
企業として、どのような働き方を目指していくのかを改めて考え、自社ならではのテレワーク体制を少しずつ作り上げていくことが今後大切だと思います。
今回の記事が少しでも皆様のお役に立ったなら嬉しいです!読んでいただき、ありがとうございました。
この記事を書いた人
小澤 美佳
2008年に株式会社リクルート入社。
中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。
2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。
副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。