リモートワークを導入する時、ついオフィス出勤同様に部下の仕事時間や在席状態を監視したくなってしまいます。そういった安心を買うための監視ツールもたくさん世の中に出回っています。しかし本当に「監視」は必要なのでしょうか?
もっと安心してテレワーク時代を過ごすために、監視の代わりに必要なものを考えてみました。
評価は成果主義に。時間と在席の概念を捨てる
リモートワーク導入によって1番に変革が求められるのは、評価の方法です。
これまでは出社時間と退社時間を守っていること・デスクに座ってそこに存在していることがひとつ目安になっていました。ところがリモートになると当然働く場所がバラバラになりますので、パッと見て在席を判断することが困難です。「本当にちゃんと働いているのか」心配になるかもしれません。
もちろん仮想オフィスツールや勤怠管理ツールを使って出退社や在席を管理することもできますが、特に在宅で仕事をしていると、どうしても雑事で席を外したりする事態が発生します。それを厳格に管理するよりは、思い切って仕事の成果物だけで評する方が、管理者と労働者、双方の心理的負担が軽くなります。もちろん進捗や情報の共有などの必要なコミュニケーションは怠らないように指導する必要があることを忘れずに。
時間通りにパソコンの前にいなくても、顔が見えなくても、進捗と適切なコミュニケーションを管理する。そちらに意識をシフトしてみましょう。
リモートワーク導入時に社員に説明をする
「テレワークを導入するぞ!」と決めた時、意外と社員は「監視されること」を気にします。「カメラで常にこちらが見えるようにするのではないか?」「パソコンの画面を監視されるのではないか?」等々、ともするとオフィスにいる頃よりも窮屈な思いをさせられるのではないかと疑心暗鬼に陥る場合もあります。
不必要に上司を警戒する気持ちが生まれると、一気にチーム全体の関係がギクシャクすることになります。会社に対する不信感が沸き起こるのも良い傾向ではありませんね。
これを解消するために、テレワークの導入を社員に周知する際、必ず「監視はしない」と明確に示しておくと良いでしょう。できればカメラやPC画面の監視ツールの使用自体も避けた方が得策です。
「いつも見ているからサボるとバレるぞ」と脅して縛るより、「信頼しているので、いつまでにこれだけの成果を」とある程度の自由を保証し託される方が、人は安心して力を発揮することができます。もちろん監視する側の負担も減りますね。
個別の業務計画や進捗報告を徹底する
時間も在席を気にせず成果を軸に評価する、という方法は、ほったらかしにすることではありません。成果を評価するためには、確実に成果を出すための計画を綿密に立てるということです。
部下ひとりひとりに業務計画を立てさせること、細かい進捗の報告を徹底させることが成果と業務効率を上げるための必須事項となります。これに伴う1on1の打ち合わせは、部下のメンタルを把握するための大切なコミュニケーションにもなります。ひとりひとりのポテンシャルを見極め、効率良く仕事をしてもらうための指導もよりやりやすくなるでしょう。
雑談など細かいコミュニケーションを大切に
雑談をはじめとした細かいコミュニケーションも、監視を必要としないチームづくりのための大切な柱です。業務に関するちょっとした相談がしやすい、アイディアを出しやすい環境を作ることも非常に大切です。何気ないやりとりや意見の交換が活発になれば、離れていても自然とお互いをチームメイトとして意識し協力しやすくなります。
チームの信頼なくしてリモートワークは成り立たない
チームが離れて仕事するために必要なのは、「監視」ではなく「信頼」です。相手を信じて託すことがより良い人間関係を生み出します。そして良い人間関係は心理的安全性を、心理的安全性は高い生産性を連れてくるのです。リモートワークを導入する際は、ぜひ監視ではなく信頼と適切な管理を心がけてくださいね。
この記事を書いた人
土佐光見
リモートワーク研究所研究員・ライター。
webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。