地方移住への関心が高まっている
テレワークが急速に浸透する中、地方移住を促進するための施策を発表する自治体や、本社を地方拠点へ移す企業が登場するなど、世間は東京の一極集中から脱却しようとする機運が高まっています。
2020年6月に内閣府が行った「新型コロナウイルス感染症の影響下における
生活意識・行動の変化に関する調査」の中で、地方移住への関心が高まっていることを示す数字が発表されました。
この調査によると、年齢別では20歳代の22.1%が、地域別では東京都23区に住む人の35.4%が「地方移住への関心が高まった」「やや高まった」と回答しています。
またテレワーク経験者は、WLB、地方移住、仕事に関する意識が変化した割合が高いという結果も提示されています。
参考:内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」
「テレワークしながら地方移住する人」への補助金ができた!
政府ではこのような世論を踏まえ、2021年度より、かねてから推進してきた地方創生移住支援に、新たに「テレワークで従来の仕事を続けつつ地方に移住した人」を対象に加えることを発表しました。
参考:内閣官房・内閣府 総合サイト「みんなで育てる地域のチカラ 地方創生」
誰がいくらもらえるの?
地方創生起業支援・移住支援事業 とは
内閣府では、「地方での起業や東京圏からUIJターンにより起業・就業をする方へ支援金を支給する地方公共団体の取組を支援する」という名目で、「起業支援金」と「移住支援金」を設置しています。
起業支援金(最大200万円)
都道府県が、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業する方を対象に、起業のための伴走支援と事業費への助成(最大200万円)を通して、効果的な起業を促進し、地域課題の解決を通して地方創生を実現することを目的とした事業です。
事業分野としては、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた幅広いものを想定。「都道府県が選定する執行団体が、計画の審査や事業立ち上げに向けた伴走支援を行うとともに、起業に必要な経費の2分の1に相当する額を交付」とあります。
<対象>
- 東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。
- 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに個人開業届又は法人の設立を行うこと。
- 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。
これら3つのすべてを満たすことが必要です。
移住支援金(最大100万円 ※単身の場合は最大60万円)
こちらは、東京23区に在住または通勤する方が、東京圏外へ移住し、起業や就業等を行う場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。
<対象者>
移住直前の10年間で、通算5年以上かつ直近1年以上東京23区内に在住者又は東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区へ通勤していた者。
<移住先>
東京圏外または東京圏内の条件不利地域への移住者のうち、移住先で
- 地域の中小企業への就職
- テレワークにより移住前の業務を継続
- 地域で社会的起業を実施(※都道府県における本事業のマッチングサイトやマッチング拠点を活用)
上記いずれかの要件を満たすことが必要です。
詳細については、内閣府HPや各自治体のHPなどを必ずご確認ください。
さらに2拠点居住も後押し
さらに国土交通省が、テレワークを活用しながら都市部と地方の両方に生活拠点を持つ「2地域居住」を広め、これを地方の活性化にもつなげようと、市町村など全国600の自治体や航空、鉄道、不動産の業界団体などと協議会をつくり、9日にオンラインで初会合を開きました。
協議会では今後、先進的な事例を自治体間で情報共有できる仕組みをつくるほか、2地域居住に関心がある人に向けてシンポジウムを開いたり、専用のホームページを開設したりして情報発信を強化していく方針だそう。新たな指針が発表される可能性もありそうです。
自治体ごとに支援金を置いているところもある
国からはもちろんですが、さらに地方自治体ごとに移住に関する支援金を設けているところもあります。例えば新居の建築費用の補填であったり、引っ越しの助成や就職祝い金などさまざま。
これに関しては、一般社団法人 移住・交流推進機構がポータルサイトを作っています。お目当ての地域がある方はぜひ事前にチェックしておくことをおすすめします。
風土に馴染めれば地方移住もあり!
世間の風向きは少しずつですが、変わりつつあります。テレワークを上手に活用することができる環境であれば、住む場所はどこでも首都圏にいる時と遜色なく仕事ができる…そんな未来も夢ではないのかもしれません。
まずは移住してみたい土地に足を運んでワーケーションしてみるところから始めて、風土に馴染めるか確かめてみるなど段階が必要になりそうですが、結論として、テレワークでの地方移住は「あり」です。支援金の条件を満たすことが可能な方はぜひ検討してみてください。