中小企業のテレワーク導入状況、どうなってる?
「リモートワークは大企業のもの」「資金もノウハウもない中小企業には難しい」そんな風に考えてはいませんか?
2021年6月に東京商工会議所が発表した「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」(2021年6月21日発表)では、以下のような結果になっています。
従業員規模別テレワーク実施率
現在実施している | 現在実施していない | |
全体 | 38.4% | 61.6% |
50人以下 | 29.8% | 70.2% |
51~100人 | 50.0% | 50.0% |
101~300人 | 59.3% | 40.7% |
301人以上 | 64.5% | 35.5% |
従業員数別のテレワーク実施率では、301人以上が最も高く64.5%となり、50人以下が最も少なく29.8%となっています。この結果から読み解けるのは、「規模が小さい企業ほど実施率が低い」という事実です。
さらに、2021年1〜2月調査と比較してみると、すべての規模の企業で実施率が低下。中でも、50人以下の企業は、26.8ポイント減少し、最大の下げ幅となっています。
2021年1〜2月調査 | 2021年5月調査 | 下げ幅 | |
50人以下 | 56.6% | 29.8% | ▼26.8ポイント |
51~100人 | 66.4% | 50.0% | ▼16.4ポイント |
101~300人 | 77.9% | 59.3% | ▼18.6ポイント |
301人以上 | 86.8% | 64.5% | ▼22.3ポイント |
中小企業ではテレワークが進みづらい…その理由とは?
同じ東京商工会議所の調査から、以下のような結果も出ています。
テレワークを実施できない理由(今回テレワークを実施していないと回答した企業)
テレワーク可能な業務がない | 64.7% |
生産性の低下 | 24.0% |
PCや通信環境の整備状況 | 19.6% |
取引先とのコミュニケーション | 18.9% |
社内コミュニケーション | 15.4% |
主な課題としては、業務に関する問題(テレワーク可能な業務がない・PCや通信環境の整備状況)、コミュニケーションに関する問題(取引先とのコミュニケーション・社内コミュニケーション)、意識に関する問題(生産性の低下)に分かれるようです。それぞれ対策も含めて具体的に考えてみましょう。
①業務に関する問題
どうしてもテレワークできない業務というのは確かに存在します。生産加工の現場や物理的な製品を扱う仕事など、特にエッセンシャルワークはなかなかテレワーク化が難しい状況ですね。しかしどんな仕事にも付随して発生する事務周りや営業、社内伝達、コミュニケーションなど、デジタル化・ペーパーレス化することはできます。これによって事務方だけでもテレワークにするという手段も可能になります。
また、環境整備にかかる費用や必要な専門知識についても気になるところ。これについては国や自治体の助成金を利用するというのがひとつのアイディアです。
自治体や条件によっても様々ですので、補助金ポータルを活用するのもおすすめです。
また、テレワークを導入することによって、通勤手当やオフィスの光熱費の削減したり事務所を縮小したりと削れる固定費も出てきます。導入にかかる費用と、結果削減できる固定費を試算し比較してみると良いでしょう。
②コミュニケーションに関する問題
在宅勤務者とオフィス勤務者、取引先の三者間のコミュニケーションがネックになると考える方も多いようです。まずは社内のコミュニケーションのデジタル化から始めてみましょう。
テレワーク時のコミュニケーションを失わないためには、今までのコミュニケーションがどんなものだったのかを分解して考え、全てをオンラインツールに置き換えることが必要です。この作業は、同時に「どの種類のコミュニケーションが抜け落ちてしまうのか」が見えてきます。これを踏まえて、必要なツールを選定することをおすすめします。
仮想オフィスツールの導入がおすすめですが、まずはweb会議やチャットツールだけでも。無料トライアルを設けているツールがほとんどですので、どんどん触って社内で意見交換してみてください。
③意識に関する問題
「テレワークをするとサボるのではないか」「生産性が低下するのではないか」という考えがテレワークの導入を妨げることがあります。まずはリモートワークラボが考える、テレワーク導入のメリットを提示します。
- 通勤の負担がなくなる
- 幅広い採用が実現できる
- 離職減
- 生産性の向上
世界的にも有名な首都圏の満員電車。あの電車に乗って通勤するという精神的負担がなくなるのはかなりのメリットではないかと考えます。また、特定のオフィスへの通勤が必須でなくなれば、地方や海外からも優秀な人材を採用することが可能になりますし、出産や子育て、介護などの理由で時間に合わせて通勤することが困難になる社員にも対応できるので、結果離職を防ぐ効果も期待できます。
働く場所を選べるということは、自分で落ち着いて取り組める環境を選べるということ。メンタルが安定していればそれだけ生産性も向上するのではないでしょうか?
2021年4月に公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部が発表したレポートでは、図のような調査結果が掲載されています。
コロナ禍が始まり急速にリモートワークが広がった2020年5月に実施された第1回から、2021年4月に実施された第5回まで、「自宅での勤務で効率が上がったか」の質問に対しては「効率が上がった」「やや上がった」と回答している人の数が、「自宅での勤務に満足しているか」の質問に対しては「満足している」「どちらかと言えば満足している」と回答する人の数がそれぞれ徐々に増加しています。このデータから、リモートワークが仕事の効率に良い影響を与えているということが伺えますね。
中小企業がリモートワークを実現するためのステップ
テレワークを実際に導入するためには、きちんと段階を踏んだ計画を立てる必要があります。順番に解説しましょう。
①目的を明確にする
まず「なぜリモートワークを導入するのか」を整理します。導入推進者としては当たり前なことでも、会社やチームのみんなが同じように考えているとは限りません。推進者の考えの方が少数派であることもあります。
どんな課題があって、どうして導入したいのか、冷静でみんなが理解、共感しやすいロジックを考えることが大切です。最終的に会社としてどういう状態を目指すのかについてもきちんと回答できるようにしておくと良いですね。
②経営レベルで認識を合わせる
理解しやすく、共感を得られそうなロジックができたら、まずは経営レベルで認識を合わせましょう。経営層の中に1人でもリモートワークに対して懐疑的な人間がいると、現場にも影響してしまいます。ひとまず理解を揃え、統一した意思決定にしておくことが必須。
オフィスワークに最適化している状態からリモートワークが許容できる状態に移行するには、様々な課題が出てくるはずです。一時的に作業効率が落ちたり、現場が戸惑ったりした場合でも、挑戦を続けられるようしっかりと意志を伝えることが大事です。
③業務プロセスを見直す
オフィスで働く社員とリモートワークをする社員が混在するチームが円滑に業務を進めるためには、就業規則等の見直しだけでは不十分です。リモートワークの社員を想定しても、各種業務が問題なく遂行できるよう業務のプロセスを見直すことが大切。
できる限りのペーパーレス化、会議や研修をオンラインでも行えるようにすること、全ての業務の洗い出しとオンライン化の検討を進めてください。この仕分けがスムーズなリモートワーク導入に大きく影響します。
④ツールの選定・運用ルールの作成
業務プロセスの見直しが済んだら、リモートワークに必要なツールを選定します。どの業務をどのツールで行うか、運用や保守のためのルールも同時に作成しましょう。最初からパーフェクトに全て揃っている必要はありません。ある程度整ったら、あとはこの後に行うトライアルで最終的な判定をするようにしましょう。
⑤トライアルの実施
準備が整ってきたら、トライアルを実施します。組織の規模によってトライアルの範囲は異なりますが、最初は小規模で、リモートワークへのニーズや関心が高いチームで実施すると効果的です。
トライアル期間では、あらかじめ検証したい点を整理しておくと、関係者の理解が得やすくなったり、次のステップに進む判断が行いやすくなります。ただし、トライアルが始まってから検証したい点が変わることもよく起こりますので、トライアル期間の中でも定期的に見直しを実施する機会を設けておきましょう。
⑥フィードバックを検証する
トライアルを始めると、開始前には予想していなかったような大小の問題が寄せられます。業務への影響の大きさや関係者の多さなどを踏まえて優先順位をつけ、着実に解決していきましょう。声をあげにくい人もいる可能性があるので、フィードバックを待つだけでなく、定期的に個別またはグループ単位でヒアリングを行うと良いでしょう。
リモートワークを導入したことで業務に悪影響が出ると、リモートワークの印象が悪くなり、あっという間に取り組みが形骸化してしまいます。日々発生する課題に真摯に向き合って、迅速に解決していくことが大切です。
リモートワークを導入した50人以下の企業事例
リモートワークラボでは、リモートワークする様々な会社にインタビューを行っています。その中には50人以下の小規模な企業も多数。ぜひご参考に。
中小企業のリモートワークにはRemottyがおすすめ
数字を見てみると、確かに中小企業の方がリモートワーク導入率は低く見えます。しかしリモートワーク化に会社の大小はあまり関係ありません。業務を上手に整理し、チームのコミュニケーションを大切に考えていけば、テレワークを使ってより効率よく働くことは可能です。
Remottyはweb上にオフィスを構築する仮想オフィスツール。あれこれ難しく見えるテレワークも、Remottyを使えば物理的なオフィスにいた頃と同じように仲間と繋がりながら行うことができます。導入のためのご相談を承っておりますので、お気軽にご相談くださいね。