リモートワークをもっと当たり前の社会にするために、「リモートワークは普通!」になっている会社を紹介していきます。
今回は「リモートチームでうまくいく」を執筆した倉貫が、「チャットワーク」を開発された山本さんに、ChatWorkで取り組んでいるチャット中心の新しい働き方について聞いてきました。成長し続ける組織の中でのコミュニケーション、働き方、採用から経営理念まで、様々な切り口からお話を伺ってきました。
いつも働き方を一生懸命に考えている二人が、何を大事にしているのか話をしてきました。
全9回のコンテンツです。
山本 正喜やまもと まさき
ChatWork専務取締役CTO
大学在学中より兄の山本敏行とともに、兄弟で株式会社EC studioを2000年に創業。以来、製品開発担当として多数のサービス開発に携わり、2011年3月にクラウド型ビジネスチャットツール「チャットワーク」を開発。2012年には社名をChatWorkへと変更し、チャットワークをビジネスコミュニケーションにおける世界のスタンダードにすべく、全社を挙げて取り組んでいる。
倉貫 義人くらぬき よしひと
ソニックガーデン代表取締役
株式会社ソニックガーデン代表取締役。大手SIerにてプログラマやマネージャとして経験を積んだのち、2009年に「SonicGarden」を立ち上げる。「納品のない受託開発」という新しいビジネスモデルを展開し注目を集める。著書に『「納品」をなくせばうまくいく』『リモートチームでうまくいく』など。「心はプログラマ、仕事は経営者」がモットー。ブログhttp://kuranuki.sonicgarden.jp/
第1回 1社40人ルールのその先へ舵をきったチャットワーク
- 倉貫
リモートワークラボの取材には、いつもは私は出てこないですけど、今回は知らない仲でもないし、ぜひ直接お話を聞いてみたい、ということで出てきました(笑)。
- 山本
そうですよね。倉貫さんが自ら来るんだと思って、すごいびっくりしました(笑)。
- 倉貫
私以外だと、あらすじ通りにリモートワークの話をアンケート的に聞く感じなんですけど、せっかくなので、今回は割と雑多に色々な話をしようかなと思ってます。
- 山本
そのほうがいいですね(笑)。僕も話しやすいです。はい、よろしくお願いします。
- 倉貫
最初に、チャットワークのことはすでに多くの読者の皆さんは知っていると思うんですけど、改めて会社とサービスの紹介を簡単にしてもらっていいですか?
- 山本
はい、ChatWork株式会社という会社をやってまして、サービスとしては、ビジネス向けのチャットサービスの「チャットワーク」というサービスを2011年の3月からリリースをして、5年ほど展開しているという会社です。
- 倉貫
今、社員の方はどれぐらいいらっしゃるんですか?
- 山本
社員数でいうと、日本が60で、アメリカが6ですね。(取材時:2016年1月末時点)
- 倉貫
ChatWorkに社名を変更されたのは、いつでしたっけ?
- 山本
2012年ですね。
- 倉貫
その頃は何人ぐらいだったんですか?
- 山本
その頃は30ちょっとですよ。
- 倉貫
じゃあ、もう倍以上に。
- 山本
うちの会社はもともと1社40人以上には会社をしないっていうのを決めていたんですよ。
- 倉貫
へぇ、それは創業当時の決めごとだったんですね。
- 山本
「しないこと14カ条」というものがあって、その中の1つに、大きい会社にして規模を追求しないという1社40人までにするルールというのがあったんです。
- 倉貫
1社40人が最大値ということですね。
- 山本
なので、ギリギリを追求していたんですけど、さすがに限界が来まして(笑)。
- 倉貫
限界が来ましたか(笑)。
- 山本
さすがにチャットワークが大きくなり過ぎちゃって、この人数だとサービスを支えきれないっていうところで、ちょうど社名を変えたのをきっかけに舵を切って、そこから大きくなってきました。ここ1年ぐらいで急に大きくなって。去年の1月が32人ぐらいで、今年でもう66とかになって、倍ちょっとぐらいになりましたね。
- 倉貫
すごい、それはまた一気にっていう感じですね。また最近のニュースだと、資金調達を2回ほど連続でされましたね。
- 山本
そうですね。昨年の4月に、GMO VenturePartnersさんから3億円を調達させていただいて。
- 倉貫
そして、つい先日も。
- 山本
つい先日は15億円を調達ということでさせていただいてます。
- 倉貫
それはやっぱり、海外展開に向けてということで、資金調達した感じですか?
- 山本
そうですね。プロダクトは1つなので、開発は国内・海外の両方なんですけれども、マーケティングとしてグローバルに対する狙いがありますね。
- 倉貫
今後は、海外の人も増えてきますか?
- 山本
そうですね。USのチームもネイティブの人材を採用してますし、アジアでもやっていこうということで動いてますね。
第2回リモートワーク、最初からそれが当たり前だった
- 倉貫
そういえば、社長が自ら海外に行かれていますよね。
- 山本
そうですね。もう3年半ぐらいですかね。
- 倉貫
それは全然日本で働く感じじゃないんですか?
- 山本
もう向こうがメイン。もう3年半ぐらい前から「俺はアメリカに行くぞ」と(笑)。
- 倉貫
(笑)
- 山本
ちょうど娘が1歳になったぐらいだったんですけど、家族ごと移住して「向こうで頑張る」って言って行きました。
- 倉貫
じゃあ当時は、社長がお一人で行ってたんですか?それとも何人かで?
- 山本
もう1人、アメリカの立ち上げメンバーとして英語が得意なメンバーを採用して、2人で立ち上げた形ですね。
- 倉貫
じゃあ、社長が最初のリモートワークみたいな感じですか?
- 山本
リモートワークというと、創業は結構古いんですが2004年に法人化しまして、そのとき既に東京と大阪で分かれていたんですよ。
- 倉貫
もともとは大阪の会社でしたよね?
- 山本
そうなんです。本社が大阪の吹田というところにあって、一方で開発のメンバー僕を含めて3人がみんな東京の人間でした。だから、開発が東京3人、大阪が4人ぐらいで起業したんです。
- 倉貫
起業したときから、もうリモートじゃないですか(笑)。
- 山本
起業したときから東京と大阪で分かれてて、それもすごいと思うんですけど(笑)。なので、オフィスが離れたリモートワークであれば、本当に創業の頃からやってました。
- 倉貫
じゃあ、もう離れて一緒にやることに対して抵抗感は全くなくやれていた、と。
- 山本
そうですね。もう最初からそれが当たり前のようになっていたので。ただやっぱりコミュニケーションも大事じゃないですか。創業した頃って特に。
- 倉貫
ええ、大事ですね。
- 山本
なので、頻繁に合宿をやってましたね。
- 倉貫
合宿というのは、どういう合宿ですか?
- 山本
東京のメンバーが、2週間大阪に行ってガッツリ詰めてっていう合宿をしていました。会社を作った1年目のときは2カ月に1回やっていて、数えてみたら1年のうち120日ぐらい大阪にいることになっちゃって(笑)。
- 倉貫
(笑)
- 山本
1年の3分の1も行ってると、さすがにこれはしんどいというので「ちょっと減らしてくれ」と言って3カ月に1回になって、それが5~6年続いたんです。
- 倉貫
確かに隔月2週間はきついと(笑)。
- 山本
途中からは東京のメンバーが1週間行って、また大阪のメンバーがまた東京に1週間行くっていう、合計2週間一緒にいるという形で、2014年ぐらいまでずっとやってました。
- 倉貫
わりともう最近まで。
- 山本
そうですね。合宿のようなリアルなコミュニケーションもやりつつも、それ以外のときには、もちろんチャットワークを使ってコミュニケーションしています。チャットワーク以前はSkypeチャットをメインにやってましたね。そういうチャットでのコミュニケーションってずっと昔からやってきたので、その経験があったから、チャットワークをつくったという感じなんです。
- 倉貫
自分たちの働き方をもっと楽にするために最初は生まれた感じですか?
- 山本
そうですね。チャットワークってもともと最初は商品化を予定してなくて、社内ツールだったんです。なので、自分たちのためにつくったという感じです。
- 倉貫
それはエンジニアとしては嬉しいエピソードですね。エンジニアは自分で使うツールを自分で作るの好きですから。当時、Skypeチャットに不満があったわけですね?
- 山本
Skypeチャットは便利だったんですけど、やっぱり業務の数が増えてくると、グループチャットが増えすぎたり、モバイルが出てきて、いろんな端末も増えてくる中で「クラウド型のほうがいいよね」っていうところで「僕らでつくろう」みたいな。あと、Skypeは個人向けだったので、ビジネス向けにはやっぱり物足りないところがあったので、そこでつくったわけですね。
- 倉貫
わかります。社員の皆さんは、もちろんチャットに対しての抵抗はないですよね。
- 山本
チャットしか知らないみたいな感じです、うちの会社でいうと(笑)。
第3回 日本でいちばん社員満足度が高い会社の、いま
- 倉貫
以前『日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方』、私も読みました。
- 山本
ありがとうございます。
- 倉貫
でも「非常識な働き方」って自分たちで言うのはどうでした?(笑)
- 山本
自分たちだと当たり前だと思ってたんですけど、でも周りから見ると非常識らしくて(笑)。外部の方から「このコピーにしよう」みたいな提案があって、「あ、非常識なんだ」と(笑)。
- 倉貫
あー、その感じ、とても共感できます(笑)。
- 山本
(笑)
- 倉貫
これは経営的な視点で聞きたいんですけど、わかって聞いてるところもあるんですけど、社員満足度を高めようというのは、会社として合理的な理由ってあるんでしょうか?
- 山本
もともとはうちの代表が経営の勉強をしていたときに、経営者1000人ぐらいに会ったんですよ。
- 倉貫
それはすごい。
- 山本
1000人に会って、それでうまくいっている会社、うまくいっていない会社とかを見たときに、うまくいっている会社っていうのは、社員が生き生きと働いているというところが共通している。それに着目して「中から幸せにしよう」というのが、うちの代表がいつも言っていることなんです。従業員満足がないのに顧客満足はない。まず中にいる身近な人から幸せにしていって、それを広げていくほうがいいんじゃないかっていう考え方が最初にあったんですよね。
- 倉貫
短絡的に考えちゃったら、従業員満足より顧客満足だろうとか、会社の売上とか、数字のほうが大事じゃないかというところに行きがちなんだけど、やっぱりまず社員ということですね。
- 山本
そうですね。社員満足があるから顧客満足ができるという、自分たちが満足して働けてないのに顧客満足はできないだろうという考え方でずっとやってきて、それでずっと10何年もやってきてますので、当たり前になっているわけですね。
- 倉貫
社員満足を高めるために、社員の満足度って社内でどうやって判断してます?「満足してる?」って聞くとか(笑)。
- 山本
(笑)。満足度を測るというところは、以前にリンクアンドモチベーションさんがやっているサーベイをやってみました。それですごく客観視できて、スタッフがどう思っているかというのが分かって、対策をどんどんやっていったら満足度もどんどん上がっていって日本一になったんです。なかなか自分たちでは判断しづらいので、外部の目線を入れるというのもあるのかなと思ってます。
- 倉貫
社員の人たちから「こういう働き方がしたい」とかっていう提案とか、アイデアとかは出てきたりするんですか?
- 山本
そうですね。基本は社員からアイデアが上がってきて制度ができるっていうことをずっとやっている会社です。リモートワークの話で言えば、基本的にはオフィス勤務が前提なんですが、社員が暮らす環境や状況に応じて在宅勤務の人が何人もいます。それも「やりたい」と言ったから「じゃあ、やってみようか」というので実験的に始めてみたので、働き方もどんどん柔軟になってますね。最近だと副業している人も出てきてますけど、昔はそういうのもなかったんですけど、最近では「じゃあ、認めてみようか」っていうことでやったり。
- 倉貫
それは良い会社ですね。そういうのは、社員から上がってきたときに、経営から「まあ、いいんじゃないか」と。
- 山本
そうですね。経営で判断して、リスクを考えて少しずつ試しながらやっていくという感じですね。
- 倉貫
経営から「ダメ」って言うことはないんですか?
- 山本
ダメということは、なくはないです(笑)。
- 倉貫
その辺の会社としての判断基準ってありますか?
- 山本
会社としても、その人にとっても、お互いにメリットがあるといいですよね。そこにギャップがあるんだったら、そこはすり合わせをしなきゃいけない。
- 倉貫
その通りですね。
- 山本
例えば「在宅で働きたい」といって、全然働く環境がなかったりとか、やっぱり向いている人とか向いてない人とかあるじゃないですか。在宅しても良いんですけど、そこで生まれるスタッフとの距離を埋めるような努力も必要で、そこまでする覚悟があるなら「じゃあ、やってみようか」ってなります。ただ会社の制度だから、というのは難しいのかなという気がします。
第4回 明日から全員在宅っていっても全然回る会社
- 倉貫
その在宅勤務ですが、完全に在宅しているっていう人たちって何人ぐらいいらっしゃいますか?
- 山本
完全在宅は、山口1人、岡山1人、名古屋1人で3人が完全在宅ですね。他は特にエンジニアに多いんですけれども、例えばお子さんが産まれそうなときは在宅勤務を1カ月やったりとか、あとは東京のスタッフでも通勤に2時間かかるスタッフがいるんで(笑)、その彼は在宅勤務をメインに切り替えましたね。
- 倉貫
通勤2時間だと、名古屋と変わらない。いや、それはもう完全にリモートワークして良い通勤圏ですね(笑)。
- 山本
そうですね(笑)。往復で4時間かけて来るってもったいないじゃないですか。とはいえ来れる距離ではあるので必要なときはちゃんと来て、そうじゃないときは在宅でオッケーみたいな感じでやってますね。
- 倉貫
ずっと在宅じゃなくて、必要に応じて来れるというのは良いですね。
- 山本
そうですね。最初はずっとオフィスに来てもらってたんですけれども、もうスタッフとも馴染みができて、在宅でもやれそうだというところで、途中から変わったという感じですね。
- 倉貫
その他の山口、岡山、名古屋の方も、皆さんエンジニアですか?
- 山本
全員エンジニアですね。
- 倉貫
やっぱり在宅勤務をしやすいのはエンジニアとか、そういう職種的なところってありますか?
- 山本
そうですね。弊社はプロダクトの会社でエンジニア比率が高いので、それが大きいです。エンジニア同士だとソースコードで会話するんで、馴染みやすいなと思います(笑)。
- 倉貫
うちもそうですね(笑)
- 山本
あと他の職種であれば、やっぱりデジタルで完結しない職種は難しいところがありますよね。お客さんと会わなきゃいけないとか、紙の書類を扱わなきゃいけないとか。
- 倉貫
そうですね。そんな人たちも「来週1週間は在宅」みたいなことってありますか。
- 山本
1週間とか明日とか、スポットでポンポンって在宅っていうのは、よくやる会社ですね。
- 倉貫
在宅勤務と言うより、場所に縛られてない感じですね。
- 山本
うちの体制でいうと、明日から全員在宅っていっても全然回るんですよ。基本的にチャットで回している会社なので。
- 倉貫
その前提は大事だなぁ。
- 山本
このオフィスに引っ越すときも確か1カ月ぐらい、古いオフィスの解約と新しいオフィスのリフォームが終わるまでに間があって、東京スタッフは1カ月全員在宅みたいな感じでやったこともありました(笑)。
- 倉貫
それ面白い(笑)。オフィスが出来上がるまでみんなオフィスに来ないっていうのはすごいですね。
- 山本
1カ月間やってみようっていうのでやってみたら、できましたね。
- 倉貫
ちょうど僕らのオフィスも今度解約することが決まったんですけど、次のところが決まってないのでドキドキしてるんです(笑)。
- 山本
リフォームとか引越しもあるから、間に合わないかもしれないじゃないですか(笑)。
- 倉貫
そう、もしかしたら間に合わない(笑)。でも、そうなったら1〜2カ月ぐらいは、みんなオフィスがなくてもいけるかなって(笑)。
- 山本
いけますよね。普段からリモートワークをちゃんとやっていれば大丈夫だし。
- 倉貫
そうなんですよ。普段のコミュニケーションを、みんなオンラインでやっている限りは、いつオフィスがなくなっても大丈夫。
- 山本
僕らもリモートワークをやれる環境ではあるんですけど、すべてがリモートワークとか、デジタルでやればいいとは全く思っていなくて、やっぱりオフラインとオンラインとか、アナログとデジタルって両方やっぱり必要だと思っていて、オフィスも構えるんです。
- 倉貫
わかります。
- 山本
僕らは餅は餅屋という考え方でやっていて、それは得意なことを得意な人にやらせたほうがいいという話なんですけど、そこはもうITと人に関してもそうで、ITでできることはITにやらせて、人は人にしかできないことに時間を使おうよっていう。ちゃんと対面で会って話すと相手の状況が分かるとか、モチベーションを上げるためのコミュニケーションとか、そういうのって対面じゃないと結構難しいところがあったりしますからね。
- 倉貫
チャットで済むところは済ませて、対面ならではのことにフォーカスするわけですね。
- 山本
最初はオフラインでやって仲良くなって、信頼関係を築いた上でリモートワークをするとすごくうまくいくんですけど、最初の信頼関係がなかったときにリモートワークをしちゃうと、「あの人はどういう人なのかな?」っていうふうに、やっぱりどうしてもチャットとかデジタルになってくると、落ちる情報ってあるんですよ。空気感であったりとか、表情であったりとか。
- 倉貫
確かに、ちょっと怖いですよね。
- 山本
最初に会って、ちゃんと人となりが分かっていれば頭で補完できるので、会うことをやった上じゃないとうまく機能しないんじゃないかなっていう。経験上そう思ってますね。
- 倉貫
信頼関係というか、知らない人と急に仕事をしましょうっていうのは難しいですよね。仕事をお願いしてても、「本当にやってるのか、あの人」みたいな気持ちになったり。
- 山本
そうですね。
- 倉貫
人間って、分からないことがあると、脳はそこを不安で埋めるみたいですね。誰かと会わなきゃいけないってなったときに、顔を見たこともなく情報もない人だと、勝手に悪い想像で埋めちゃう。でも会ってみると、全然いい人だったって沢山あるんですけど。会うまでは、悪く考えがちですよね。想像の部分を人間はつい悪い想像で埋めちゃうので、そこを事前に会って埋めておくっていうのは大事だと思います。
- 山本
なるほど。そうかもしれないないですね。
第5回 リモートワークのもたらす多様なライフスタイル
- 倉貫
山本さん自身は、リモートワークはされないんですか?
- 山本
僕自身もよく在宅とかはしますよ。ちょうど子どもが産まれたばかりでして。
- 倉貫
それはそれは、おめでとうございます(笑)。
- 山本
ありがとうございます(笑)。ちょうど3カ月ぐらいで、産まれたばかりで。いろいろと、奥さんのほうからトラブルがあったときとか、「ちょっと在宅にしてよ」みたいなときや「午前中在宅にします」とか、そういうのはわりと柔軟にやってますね。
- 倉貫
育児休暇のような制度は、会社的にはあるんですか?
- 山本
育児休暇は正式なものはやってはいないですけども、今後やれたらいいなとは思ってますね。出産のときは出産立ち会い制度っていうのがあって、その前後は帰省していいよみたいな感じです。
- 倉貫
ああ、その時期は奥さんの近くにいたほうが安心ですしね。
- 山本
そうです。それで立ち会ったメンバーは何人かいますね。
- 倉貫
育児休暇って何日休むんだみたいな話になって、何日か休んでまたオンにするみたいな、そのオン・オフが結構はっきりしすぎじゃないか、と僕なんかは思っていて。
- 山本
分かります。
- 倉貫
育児休暇って言わずに、育児中は1日1時間だけ仕事をするとか、ちょっと調子がいいときは2時間仕事をするとかっていう切り替えができるようになると、みんな幸せなのかな、と。
- 山本
そうですね。子どもを送る時間だけ抜けて、あとは仕事したり、ポイントポイントで繋がっていればいいので。そこをちゃんと成果ベースで評価できる仕組みとか、そのあたりもきっちり整えていく、これから最適解を探っていくべきなのかな、と。
- 倉貫
僕らがリモートワークをやってて感じているのは、オン・オフの切り替えが小刻みにできるということですね。家で仕事をしているときとかは、お昼に家族と外にご飯を食べに行くとか、うちの社員だったら、夕方、毎日16時ぐらいにチャットから消えるんですけど、洗濯物を取り込みに行くとか、それは完全にオフだよねみたいな(笑)。
- 山本
(笑)
- 倉貫
これまでは、朝9時に会社に来てオンになって5時半になったらオフになるって、1日に1回しかオン・オフがないっていうのが従来でしたけど、リモートワークで新しい働き方になると「今からオフ」って自分が言えばオフだし、「オン」と言えばオンになるみたいな、わりと小刻みにオン・オフができるなみたいな感じがするんですよね。
- 山本
そうですよね。そこが本当にツールの進化とか、環境の変化とかがあると思うんですけど、リモートワークによって、すごく多様なライフスタイルが可能になりますよね。
- 倉貫
いや、本当にそう思います。
- 山本
「ここを1時間だけ抜けられれば、私の生活はすごい楽になるのに」っていうのが、今までだったら我慢しなきゃいけなかったりとか、そういうことができるようになるのは非常にいいことで、そこは会社側も受け入れられるような、そういう価値観というか、常識っていうのが、今後広がっていくと思いますけど、もっと広めていってもいいのかなと思いますね。
- 倉貫
ええ、リモートワークなんてわざわざ言わなくても、当たり前の価値観になっていくようになれば、誰もが自分らしく働けるようになりますよね。新しい働きかたを、ぜひ広げていきたいと思ってます。
第6回 体験入社でカルチャーにあうかどうか確認する
- 倉貫
ChatWorkさんは徐々に人が増えたりしていく中で、採用のタイミングで中の人と信頼関係を築くって、どういう風にされていますか?
- 山本
採用に関して、うちは普通に面接をして人を見るというのは重視しているんですけど、そこから1回「体験入社」っていうのを挟むようにしているんですよ。
- 倉貫
体験入社ってあんまり聞かないですよね。体験入学みたいな?
- 山本
そうです。1日か2日、部署によって違うんですけれども、弊社に来てもらって、もう本当にその部署のスタッフの隣に座ってもらって、それでプログラマーであったらコードを書いてもらったりとか、マーケティングのメンバーだったら企画をやってもらうみたいなことをして、課題発表とか、一緒にランチに行ったり、飲みに行ったりもするんですけど、そのときにいろんなスタッフが話をして、最後に体験入社が終わった後にその部署のメンバーが全員「この人と一緒に働きたい」って言わないとOKしないという感じ。
- 倉貫
それは結構ハードルが高いですね。
- 山本
そうですね。面接だけだと、どうしてもお互いつくれちゃうじゃないですか。
- 倉貫
そうなんですよね。面接だけうまい人いますからね。
- 山本
受ける人もやっぱり想定質問を用意して、それに対して回答っていうのを用意してやっていると思いますし、あとは会社側もやっぱり良いことを言ってしまうし、実際に中がどうかっていうのは、候補者の方は不安じゃないですか。そういうお互いが1日とか2日も一緒にいたら隠せないと思うんですよ。
- 倉貫
そうですね。ボロが出ちゃう(笑)。
- 山本
実際すごく良い会社だと思っても中に入ったら、めっちゃみんな疲れてるとか(笑)。そういうのがあっても良くないので。
- 倉貫
そうですね。どのみち入ればわかることですし。
- 山本
それだったら、入る前に気付けたほうがお互いハッピーだよねっていう話です。体験入社をやるようにしてから、「想像してたのと違った」みたいな採用のミスマッチというのはすごく減りましたね。
- 倉貫
受け入れるメンバー側も、わりと安心して「いいんじゃないか」っていう感じになりますね。
- 山本
そうですね。自分が「採ってもいい」って言ったっていうところもあるので、ちゃんと入ったら受け入れようって姿勢にもなりますよね。
- 倉貫
ああ、責任感も出るわけですね。それは良いな。
- 山本
体験入社のプロセスって、負担は負担なんですよ、お互いに。候補者にとっても、僕らも、体験入社のいろいろなアテンドをしなきゃいけない。
- 倉貫
そうですよね。ケアをしなきゃいけないし。
- 山本
大変なんですけれども、やっぱり間違った人を採るっていうのは非常に経営としてリスクがあるので、体験入社をやってますね。
- 倉貫
体験入社って応募側からすると珍しいので、抵抗とかなかったですか?
- 山本
そうですね。戸惑われることもありますけど、でも、ほぼ受けてくれますね。むしろやってみたいって感じです。
- 倉貫
人柄以外は、どういうところを確認されますか?
- 山本
カルチャーフィットというのはすごく見ています。この人、会社にいそうかなっていうところ。価値観をすごく大事にしてて、僕らの経営理念とか、会社の経営スタイルとか、そこの親和性とかを見てたりしますね。
第7回 Make Happinessという理念 〜 心の豊かさを構成する3本柱
- 倉貫
お話を聞いていると、やっぱりカルチャーをすごく大事にしている。ChatWorkさんのカルチャーは、誰かリーダーシップを発揮してつくっているのか、それとも自然に出来上がっているものなのか、どうでしょう?
- 山本
そういう意味であれば、弊社の代表が創業の頃からいろいろ経営を勉強して、経営理念が大事だみたいなことを教えてもらって、まず経営理念をつくったんです。それからカルチャーが発生してますね。就労規則をつくるときだったり、社内の考え方を決めるときに、どの事業をやる、やらないっていう判断とかも全部、理念ベースで決まっていくので、少しずつ理念に基づいていろんなものができていて、蓄積されて社風ができていったっていう感じですね。
- 倉貫
ChatWorkさんの理念を表わすキーワードって、なんでしょう?
- 山本
経営理念は「Make Happiness」という、ITとして幸せをつくり出すっていうのが理念のキーワードなんですけど、Make HappinessといってもHappyっていろいろあるので何かっていったら、僕らは「心の豊かさ」であるって定義していて、その心の豊かさを構成する3本柱があります、と。
- 倉貫
それは聞きたいですね。
- 山本
心の豊かさを構成する1つが経済的豊かさ、もう1つが時間的ゆとり、もう1つが円満な人間関係、この3つが達成すれば心が豊かになってHappyになるよねっていうところを僕らの会社は考えています。
- 倉貫
とても共感できます。
- 山本
経済的豊かさであれば、ちゃんと社員の給料を出しますっていうことにもなりますし、またはお客様の売上アップを支援しますっていう意味で事業にもなります。時間的ゆとりであれば、給料は高いけど超ブラックで時間も休みもないよということはしません。ちゃんと休めるように、僕らは年間休日が140日ぐらいあって、10連休が年3回あるみたいなところで、そういう会社なんですけれども。
- 倉貫
すごいですね(笑)。
- 山本
ちゃんと休みも出しますよっていうところもそうだし、そういう時間的ゆとりというところであれば、社外に対して、お客様に対しては、業務効率を支援しますよっていうところで事業にもなると。
- 倉貫
繋がってますね。
- 山本
円満な人間関係というところは、お金があって時間もあるけど人間関係がボロボロだと心は豊かじゃないんじゃないかと思っていて、ちゃんと人間関係を大切にしましょうって。社内に対しては、すごく人間関係を大事にしていて、そこで問題がないようにって意識して経営しています。社外に対しても、人間関係が良くなるようなコミュニケーションのサービスをやっていこうっていうところですね。
- 倉貫
社内と社外、両方に向けてってことですね。
- 山本
そう、社外と社内で両方全部つながってて、社内でもその理念を実践して自分たちがHappyになって、それを外に広げていくっていうところをずっとやってきている会社なので、そういうのでできてきているという感じですね。
- 倉貫
いいですね。その3つはわりとトレードオフになりがちなんですけど、3つとも大事だと。
- 山本
そうですね。バランス経営と僕らはよく言ってますけども、3つとも大切にするという感じですね。
- 倉貫
それは外のお客さんに対しても、その3つを提供していく。
- 山本
そうです。事業としても、その3本柱の価値を提供していくっていうところをずっとやっているので、そこと全く関係ないことはやらないっていうことです。
- 倉貫
チャットワークを使って、新しい働き方を提案していくみたいなところもつながりますか?
- 山本
そうですね。チャットワークで世界の働き方を変えるっていうのが僕らのビジョンで、それはどういう働き方っていうと、さっき言ったMake Happiness、心が豊かになる働き方に世の中をしていきたいよねというところです。ChatWorkという会社名にしてプロダクトを提供しているので、チャットツールの会社と思われがちなんですけど、僕らとしてやりたいことはワークスタイルの提案というか、働き方を変える会社になりたい。チャットワークはその手段の1つでしかないっていう考え方ですね。
- 倉貫
じゃあ、経済的にも、時間的にも、人間関係も豊かにっていうところを実現するような働き方を世界中に広げていきたい。
- 山本
そうですね。
- 倉貫
展開としては、チャットワークのプロダクト以外にも、今後は広がっていく可能性が?
- 山本
そうかもしれない。チャットワークにそういった機能が乗るかもしれないし、違うプロダクトラインの中でやるかもしれないし、分からないですけども、コンテンツとして展開するかもしれないですけども、やりたい価値はずっとぶれないですね。
第8回 大きくなればなるほど価値観の明文化が大事に
- 倉貫
ChatWorkさん的には、ついに40人ルールを破って、大きな会社になろうとされてますね。
- 山本
そうなんですよ。
- 倉貫
たぶん40人ルールの中だと、信頼関係だけでうまくいきそうです。
- 山本
そうです、30~40人だと、やっぱり役員が人を全部見れる。顔も分かって、どういう性格かも全部分かるんですけど、それ以上を超えてくると、なかなかやっぱり距離が遠い人もどうしても出てくるので。うちの代表の場合、アメリカに行っていることもあるんですけど(笑)。
- 倉貫
(笑)
- 山本
ここからは、これまでの価値観を生かしつつ、大きなところにどう展開するかっていうのが課題というか、チャレンジだなと思ってます。
- 倉貫
ちなみに今、会社で実践している取り組みみたいなのはありますか?おそらく、小さな会社から大きくなるときに、どう取り組むんだろうかっていうところに興味持っている会社がたくさんあると思うんです。
- 山本
基本的には、今までのやり方ベースで行くんですけど、いろいろ問題が出てくるのを1個1個対策するみたいな感じでやっています。ちゃんとこの人数で走ってからまだ半年ぐらいなので、ここからという感じですね。ちゃんと制度設計をするっていうことだと思うんですね。
- 倉貫
というと?
- 山本
それまでだと、信頼関係で「大丈夫だろう」みたいなところで緩くやれていたのが、今までの経緯や背景を知らないメンバーもたくさん入ってくるので、そこをきっちり明文化していくというか、価値観の明文化とか共有を大きくなっていけばなるほど、ちゃんとやらなきゃいけないんだなっていうのは思いますね。小さい会社だと、暗黙知でいけると思うんですよ。
- 倉貫
一緒に過ごしているだけで分かるっていうところが、難しくなるわけですね。
- 山本
大きい会社になればなるほど、理念とかスローガンとか、すごいきっちりつくるじゃないですか。小さな会社だとそこまでやらなくてもいいんですけど、やっぱりそういうのをやっていかないといけないんだなって。文化を言葉にすると、表現で落ちちゃうところはどうしても出てくるんですけど、大きい組織とか大人数を動かしていくためには、そういった価値観の整理というのをきっちりやっていく必要があるんだなとは、感じているところです。
- 倉貫
舵をきったからこそ気付けたところですね。
- 山本
僕らにとってのコアバリューや理想の働き方とか、会社の価値観っていうのはなんだろうっていうのも、ちゃんと考えようみたいなところを今度合宿して決めてきます(笑)。
- 倉貫
そこはやっぱり合宿ですか?(笑)
- 山本
合宿やります(笑)。
- 倉貫
僕らの合宿も、リモートワークが多いので全国から集まるのは年2回だけですけど、自分たちの価値観はなんだろうかとか、何を大事にしているんだとか、「これをやっちゃ、もうソニックガーデンじゃない」みたいな話をします(笑)。
- 山本
ソニックガーデンさんは今、何名ぐらいですか?
- 倉貫
一緒に働く長期的な契約をしている人たちで、25名です。
- 山本
もうみんなリモートで?
- 倉貫
半分がリモートワークですね。
- 山本
リモートワークでの文化の共有って、難しい例とかあったりします?リモートワークが多いと、みんなで集まってのイベントっていうのはなかなかできないですよね。
- 倉貫
できないですね。半年に1回の合宿はもちろんやるんですけど、それ以外だと、会社の情報をオープンにするってのをやってます。
- 山本
オープンというと?
- 倉貫
会社の中のことって、経営で決まってから社員に伝わると、社員たちにしてみるとブラックボックスで自分ごとにならなくなっちゃうので、なるべく僕らは、人数が少ないこともあって、会社の経営の思考プロセスをみんなに全部オープンにしちゃおうっていう感じで、昨日もちょうど夜中に経営会議、いや経営会議って言いつつ、僕と副社長がお酒を飲みながらリモートで話をするんですけど、それをみんながラジオで聞いているんです(笑)。
- 山本
Ustreamみたいな、ラジオをみんなで聞いている(笑)。それはコメントはできないんですか(笑)?
- 倉貫
コメントできるんです!なので、ツッコミがたまに入るんです(笑)。
- 山本
社員からツッコミが入るんだ(笑)。
- 倉貫
あとは、副社長とのチャットのやり取りも全部オープンにしていて、「あ、社長、副社長、悩んでるな」みたいなのがわかる。会社としてのリスクは、経営陣が考えていることや悩んでいることも、失敗なんかも全部社員にばれちゃうというのがあるんですけど、そのリスクと「この人たちはこう考えて、こう行き着いたな」というのが社員の誰もが分かることを天秤にかけて、今のところオープンにしたほうがいいっていうことでオープンにしてますね。
- 山本
基本的にはオープンにしたほうがいいですよね。
第9回 ビジネスコミュニケーションの進化を加速させる存在に
- 倉貫
社員と社長のコミュニケーションは、どうですか?
- 山本
今でいうと、アメリカになってしまったので、まだあまり社長と話してないというメンバーが増えてはいますね。その代わり、チャットでのやり取りはすごい多いですね。
- 倉貫
なるほど。時差もありますもんね。
- 山本
あとはリモートで、僕らは昼にやる昼礼って言ってるんだけど、それを全体でやっていて、社長と話したりっていうことを定期的にやって共有してますね。
- 倉貫
面白いですね。昼礼というのは、みんなつなぐんですか?
- 山本
そうです。弊社の大阪、東京、シリコンバレーを全部つないで、同じ時間で2時間ぐらいかけて。
- 倉貫
そんなに。
- 山本
代表が話して、僕が話して、もう1人の役員が話してっていう感じで。
- 倉貫
経営者は今こういうことを考えているよっていうのを伝えるんですね。
- 山本
そこで経営の情報共有とか、大きなプロジェクトとか、会社の動きがこうなっているよというのを伝えて共有してますね。
- 倉貫
それは社員からすると会社のことを知れる良い機会ですね。ただ、昼礼の時間はアメリカからだと大変そうですね(笑)。
- 山本
そうなんですよ。アメリカのメンバーは17時間の時差があるので、距離はなんとでもなるんですけど、時差がいかんともしがたいところがありますよね。昼礼を動画に撮っておいて後で見ていいみたいな工夫はやってますね。
- 倉貫
僕らも朝礼が本当はやりたいんですけど、みんなリモートで難しい。
- 山本
時間がずれますよね。
- 倉貫
そう時間がずれる。出社時間が決まってなくて、みんな好きに仕事を始めるんです。しかも社長が集まれって言っても、みんな集まらないので(笑)。じゃあ、どうしようかなと思って。毎朝5分間だけ僕が音声を録音して、みんなのスマホに配信するってやっていて、みんなは社長ラジオって言ってくれているんです。
- 山本
(笑)
- 倉貫
社長ラジオを5分間だけ、子どもの送り迎えとか、通勤時間とかに聞いてくれる。毎朝、一人で録音してるので、その様子はシュールなんですけど(笑)。でも、社長がしゃべっているのをみんなが聞くだけで親近感をもってくれるんですよね。
- 山本
それはありそうですね。
- 倉貫
社員同士のコミュニケーションで他にやってる取り組みってありますか?
- 山本
あとは僕らでいえば、月1回、会社飲み会っていうのはやってますね。リモートワークの社員も、例えば広島とか、岡山とかであれば、大阪は比較的近いので、月1回ぐらいは来なよみたいな感じで一緒に飲み会をやったりですね。
- 倉貫
ChatWorkさんは今、40人ルールを超えて、資金調達もして、次のフェーズに入ってきた感じですね。
- 山本
そうですね。世界にチャレンジしていこうと思ってます。
- 倉貫
最後に、今後の展望や、これからの働き方についての考えを聞かせてください。
- 山本
今、ビジネスチャットのサービスというものは、どこもすごく増えてきてて、どんどん広まってきてるんですけども、まだまだやっぱり電話、メールでの働き方ってすごく多いじゃないですか。やっぱり電話、FAXからメールになって、その次って恐らくチャットだと思って、そうなってくると、どんどん働き方の多様性っていうのができると思うんですよ。
- 倉貫
ええ。
- 山本
リモートワークにしてもメールだと厳しかったのが、チャットだとできるようになったりとか、もっとシンプルにスピーディーにコミュニケーションできるようになったり、会議室がいらなくなったり、電話がいらなくなったりっていうことができるので、ワークスタイルの変革を進めたいなっていうところで、僕らはまず日本においてそれをやるし、またグローバルでもやろうと思っていて、ビジネスコミュニケーションの進化を加速させる存在になりたいですね。
- 倉貫
ワークスタイルの変革とビジネスコミュニケーションの進化は、切り離せませんね。
- 山本
あとは、これからの日本の課題においては、やっぱりグローバルへの挑戦っていうのはすごく大きな課題で、なかなか日本のウェブサービスって世界で全然勝ててないので、そこをちゃんと日本発で、僕らみたいな小さな会社が世界でもやれるんだよっていうためにも、グローバルで勝つっていうことをやっていきたいなと思ってます。
- 倉貫
日本発、ぜひ盛り上げていきたいですね。今日はいろいろお話を聞けて、とても楽しかったです。ありがとうございました。
- 山本
こちらこそ、ありがとうございました。
取材後記
上野駅から少し離れた昔ながらの町並みの中、昔ながらの雑居ビルにChatWorkさんのオフィスはあります。入ってみると、外の町並みやビルの外観からは想像もつかないオシャレな内装で、サンフランシスコのスタートアップのオフィスを彷彿とさせます。
山本さんとは、じっくりとお話をさせて頂くのは初めてでしたが、会社の価値観や理念の部分など、とても共感するところも多くあって、とても楽しい取材となりました。改めて感じたことは、うまくいっている会社や良いサービスは、そこで働く社員のことを大事にしているんだ、ということですね。
そして、働き方を良くするために何をすべきなのか、真摯に経営陣が考えているということも大事なことです。特にChatWorkさんは、これからさらに組織が成長していく中でも、そうした価値観を失わずにやっていこうとされていることがよくわかるお話でした。
対談のあと、ChatWorkでエンジニアとしてリモートワークを実践されている重村さんと小野澤さんにも、オンラインでつないでもらってお話を伺いました。
山口県からリモートワークをされている重村さんは、家族やペットと過ごす時間や会話が増えたこと、そして自分に投資する時間が増えたことが良かったことだと仰っていました。自然に囲まれた中で過ごされていて、「イノシシが罠にかかって今日は牡丹鍋だ」という話がチャットに流れて盛り上がることもあるそうです。
小野澤さんは横浜在住ですが、オフィスまで通勤に2時間かかるということでリモートワークをされています。家にいて子供たちの面倒を見れることで、奥様の負担も減ったそうです。何より、通勤がなくなったことで満員電車に乗らなくて済むのが良かったということでした。ただ最初の頃は、お子さんからはパパ働いてないんじゃないのかと心配されたそうです。リモートワークあるあるの話題ですね。
そういったリモートワークに関する誤解をといていくためにも、「リモートワーク」という働き方そのものを日本のワークスタイルの常識にしていきたいと改めて思いました。新しいワークスタイルが普及し、誰もが自分らしい働き方ができる社会を目指したいですね。
(株式会社ソニックガーデン 倉貫義人)
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