福利厚生も副業も、本業への良い影響を期待
ちょっと面白い福利厚生がありますよね。父の日、母の日手当とか、リスペクト手当とか。
- 村下
福利厚生も、会社の理念を体現してるようなものなんです。先達に感謝して次世代に恩返しするというのも、会社のテーマのひとつなので、自分のルーツでもある家族に対して、何かしら感謝を伝えるきっかけを後押しする、という意味ですね。具体的な使い方には言及していませんが(笑)。
- 一同
(笑)
- 村下
リスペクト手当というのは、一緒に働く仲間に対しての手当でして、社員1人につき100ポイントを持っていて、それを好きなように人にプレゼントできるんです。最終的には現金換算されるんですけれども。
配分してもいいんですか?
- 村下
はい。配分できて、かつ、メッセージも送れます。社内システムで、全従業員のリストが並ぶんですね。それを半期に1回見返して、思いをはせるというところが一番の目的なんですが、一緒に働いてる者同士がリスペクトや感謝の気持ちを持って仕事ができればいいなという思いの制度です。
いい振り返りのきっかけになりそうですよね。
- 村下
もらったコメントなんかを改めて見て、「こんないいところを見つけてくれる人が社内にいるんだ」というのが仕事のモチベーションにもつながると思うので。
カフェ手当とか、書籍手当というのは、外で会社のために使ったお金を経費に回していいですよという?
- 村下
そうですね。書籍手当は本当にシンプルに月1500円までだったらどの本でも領収書を提出してもらえれば費用を会社で負担しますというものですね。
いいですね。
- 石原
業務で必要があって買った本は全て経費ですので、それとは別に、それこそ趣味の本でもなんでも構わないんです。
それも面白いですね。
- 村下
書籍からいろいろ学んで吸収できればいいなっていうところですね。
なるほど。
- 村下
カフェ手当もシンプルで、外で作業した分は会社で手当を出します。
副業がOKっていうお話も伺いましたが。
- 村下
そうです。副業大歓迎ですっていうところではないんですけれども、副業自体は特に制限はしません。
- 石原
今、社内の高齢者事業を請け負っている子会社の社員が副業をしていますね。週に2回、自分で介護サービスを起業して。
すごいですねそれは。
- 石原
農業をやってる人もいますよ。親の畑を継いだとかじゃなくて、まだ20代の社員です。田んぼを農家の人から借りて、農業ベンチャーみたいなことを。
普段はこちらでは何をされてる方なんですか?
- 村下
イベントの企画ですね。あとは保育士をやりながら親子のイベントを企画、実行している社員もいます。
いろんな方がいらっしゃるんですね。採用の時点で副業の相談があったりするんですか?それとも途中から「副業をやりたい」と?
- 村下
その保育士をしている社員は、最初からその前提で相談して採用しました。途中から希望する方ももちろん。就業規則に則って、かつ労働契約に影響がなくて、あとは競業でなければ何でも…。
- 一同
(笑)
そうですね。競業は困りますね。
- 村下
最低限のすり合わせをした上でのにはなりますけれども。
自分に合ったスタイルで働ける環境
有馬さんは。お子さんが生まれる前からアクトインディさんにいらしたんですか?
- 有馬
いえ、子供が2人いるんですけど、下の子が生まれてから就職活動を始めて、生後半年ぐらいからここに勤めています。
- 一同
朝5時から22時までのフルフレックスなんですよね。
- 有馬
そうですね。
じゃあ、朝5時から自宅で仕事して、出社して、夕方5時に退社ですか?
- 有馬
私はそうですね。6時半までに保育園にお迎えに行ければいいので、5時から5時半ぐらいの間には会社を出るようにしてます。
「リモートで、自宅勤務でよかったな」と思うことはありますか?
- 有馬
自宅勤務ができる環境じゃないと、保育園に入って最初の1年間は本当に無理でしたね。
呼び出されますもんね。
- 有馬
そうなんですよね。すごい呼び出しが多くて、入社したての頃は、もう会社の電話が鳴るたびにビクビクして。
- 一同
(笑)
- 有馬
それぐらいもう本当にしょっちゅう呼び出されて、ちょっと強い感染のものとかだと5日間ぐらい登園できなくなるんですよ。入社したてでいきなり「5日行けません」。最終日になって下の子の登園許可書をもらいに行ったら上がかかって「すみません、あと1週間行けません」とか。在宅勤務制度がなかったらどうしようもなかったですね。もちろん病院に連れて行ったりとかで日中抜けることもあるので、全く迷惑をかけないってことではないんですけど、自分の仕事を自分で時間を調整をしながらできる環境があることは、本当に感謝しています。それがなかったらもっと余裕ない人になってました。
どうしてもイライラしちゃいますよね。
- 有馬
そうそう。仕事がしたいし、子どもともちゃんと向き合いたいけど、どっちも中途半端でイライラしたり、自己嫌悪に陥ったり。それがなくて、どっちも満足感を持ってできるというところが本当に最大の魅力だなと思ってます。
他にも同じような状況の社員さんがいると、お互いさまだから、あんまり気にならないというのもありますよね。
- 有馬
そうですね。
その支え合う感じがあるのはいいですね。今、子育て中の方が多いんですよね?
- 村下
そうですね。7割ぐらいですね。
小さいお子さんが多いですか?
- 村下
ええ、今のところは未就学児が多いです。
気持ちが分かると、自分が子育てひと段落した後も優しくできますよね。
- 有馬
生活スタイルや家庭の事情についても、都度相談しながら働けますし、本当にありがたいです。
不満になる前にどんどん相談して解決できるというのは、とても良い雰囲気ですよね。
- 有馬
そうですね。
子育てしてる社員もしてない社員も、「みんなが働きやすく」
子育てイベント事業もやられているそうですけれども、イベントのアイデアは、やっぱり子育て中の社員から出てくるんですか?
- 村下
どちらかと言うと、今上がってる企画は、代表の下元のものが多いですね。最近は、「実は自分もこれをやりたかったんです」という声が上がるようになりましたね。
合理的ですよね。子育て支援事業をしている会社に実際に子育てしてる社員が多いと、それだけ行き届きやすいというか。
- 村下
いろんな角度からフィードバックをすぐもらえますね。編集の記事のネタに関しても。
自分が知りたいことを書いたりできますもんね。
- 有馬
そうですね。例えば病気に関して、「保育園で今これが流行ってるから、この記事を出そう」とか、結構リアルタイムで考えられますね。編集長は男性なんですけど、「これ、ママ的にどう?」とパートのスタッフに聞いたりとか、ママの声を大事に記事を作っていますね。
フラットな組織だと、より言いやすいですね。
- 村下
子育てしてる社員もしてない社員も、「みんなが働きやすく」という目線を大事にしていますので。
これが、子どもが育って離れて、今度介護になりますもんね。決して人ごとではない。
- 村下
管理部としては、今は、たまたまサービスの特性もあって子育て中の社員が集まっていますけど、今、子育て中の方にフィットする働き方をしておけば、ゆくゆくは介護の両立にも役立つと思っています。あと、子育てというきっかけを通して、他の社員も自分のライフステージやバイオリズムに合うような働き方を模索するには、すごくいい機会だとも感じますね。
そうですね。子育て、病気、介護。生きていればどれかの当事者になりますもんね。
- 村下
制限された状況の中でどうやって最大限やりたいことに向き合っていくかですね。例えば「3歳のこのタイミングは一緒にいたいから時短にするけれども、5年たったらフルで働きたい」みたいに、重要視するものはどんどん変わってくるのが人間だと思うので、「どうありたいか」を大事にしつつ仕事できる環境を作ることは、やりがいにも繋がりますよね。そういう多様性に対応できるといいなと思っています。
とてもすてきなことです。
自由に挑戦する、でも慎重さも忘れない。穏やかな活気に満ちた組織
リモートワーカーとオフィスワーカーのバランスを取るために改善したこととか、運用面でつまずいたことはありますか?
- 村下
先ほども申し上げたように、問題を提起した後のディスカッションがずっと文字になってしまうと、時間的ロスが発生してしまうというケースが結構あったので、週に1回の定例ミーティングで課題を持ち寄って、そこで会って話して解決をしよう、それ以外の場合はそこで議論を続けることはいったんストップしよう、みたいな方針になったチームもありましたね。自宅勤務で生産性を上げて、かつ周りの生産性も落とさない、できれば現状維持かさらに上がるというスタンスで働きましょうということに気を付けていますね。
これからもっと人数も増えて、事業も大きくなる予定だと思うんですけど、いずれはもっと多様な、例えばフルリモートも受け入れる可能性もありますか?
- 村下
ええ。ちょうど次の4月から高知の自宅でリモート勤務をする予定の社員が1名おります。高知で、地方のよさも生かしつつ「いこーよ」のインフラも使いながら、体験事業をつくっていこうと動いています。それがうまく形になれば、他の地方にもリモートをしながら増やしていく可能性もありますね。
事業的にも広がりそうですね。現地に人がいた方がやっぱりイベントなんかはやりやすそうですね。
- 村下
そうなんですよね。あと地域コミュニティの独特のルートを確保するとか。この4月からの挑戦ですね。
それは会社から高知にフィーチャーしようと提案したんですか?それとも社員から「行きたい」という希望が出て?
- 村下
はい。代表の下元が高知出身で思い入れがあるというのもあるんですけど、いろんなタイミングも重なって、今回高知からやってみましょうということになりました。
小さく実験的に始めてみて、そこでうまくいかなかったことは細かく解決して、というスタイルだと大きな失敗って生まれにくいですよね。そういう良い慎重さを感じます。
- 村下
会社としても失敗はしてもいいんです。その代わり、そこからどうするかをきちんと考えてもらうというか。どうやったらいいかという視点を忘れずに、どんどん実行しなさいと。
その自由だけど慎重な姿勢はとても良いですね。
- 石原
普通こういったネットビジネスは、垂直立ち上げして1~2年で決着をつけるのが良いとされるんですけど、最近はこう…水平立ち上げ。
- 一同
(笑)
水平。なかなか離陸しない。
- 石原
水平で、徐々に徐々に。これはあまりスタートアップではやらないやり方ですよね。
ちゃんと守るものは守ろうというのも、社員全体に対する信頼にも繋がると思います。ちゃんと家族と生活してる人が多いでしょうし。
- 村下
そうですね。生活を大事にしている社員も多いので、そこも大きいと思います。自分が優先すべきことや大事にしたいことがあって、自分が働ける時間で何をして成果を出すかという、意識の高さと言いますか。
全体的に優しさでできてる感じがします、皆さんの。
- 村下
今後は、新卒などの、がんがんやりたい層にどうフィットさせるかが課題になるかなと思うんです。まだ子どもがいないと分からないことも多いので。そこがこれからの伸びしろですね。
伸び伸びやれるところもあるといいでしょうね。これから広げるところがたくさんあってすごくいいですね。穏やかな活気を感じます。
- 村下
ありがとうございます。そうですね、穏やかに堅実に成長していければと。
本日はありがとうございました。
取材後記
全体の「働きやすさ」を重視して環境をどんどん作り変えている柔軟さと、社員の声にちゃんと耳を傾けているところに、組織としての誠実さをとても感じました。子育て中の社員さんから直に、働きやすさについての具体的なエピソードがお聞きできたのも、とても参考になりました。「穏やかで堅実な成長」、とても素敵です。
ますますのご発展をお祈りいたします!
(リモートワークラボ編集部)
この記事を書いた人
土佐光見
リモートワーク研究所研究員・ライター。
webショップの企画運営、web制作、ディスクリプションライティングを経験し、フリーランスに。リモートで働く二児の母。趣味は読書、観劇、俳句。